――では、今後の見どころを教えてください。
中盤からドラマが急展開していきます。サスペンスも入ってきますし、設定も変わってくるし、親子の絆だとか意外と深い部分にも入ってきます。だから、「あっこういう展開になるんだ」っていう驚きもあると思います。
――純粋に恋愛ドラマとして2人の恋愛はどうなるんだろう?と気になっています。
警察と泥棒ですからね(笑)。そこも、結構深い人間愛みたいなところに入っていきます。バカバカしいものだと思って見ていたら実は心にひっかかるものも出てくる…というお話になっていきます。あと、最終回に向けて細かいネタ振りがたくさんあって、無駄のないキャラクターづくりになっているので、岸井ゆきのさんが演じるエミリや、加藤諒さんが演じる巻もどういう関わり方をしていくのか、藤岡弘、さんが演じるおじいちゃんもただ真剣を振り回しているだけじゃない(笑)、後半に重要な役を担っていくので、全キャラクターに注視して見ていただければと思います。
そして次回(8月8日放送)の第5話は、自分で言うのもなんですけどすっごい面白いですよ!(笑)。台本ができ上がった段階からすごく面白くて、全体のお話の中でもポイントとなる回になっています。ゲストの田中みな実さんが演じるキャラクターも出てくるんですが、彼女がものすごく芝居がうまいんですよ。とってもうまくてとっても魅力的なので、そこも注目になってくると思いますよ。
■深津絵里との出会いでコメディ開眼
――ところで、武内監督は『カバチタレ!』(00年 ※)あたりから作風がガラッと変わってコメディのスイッチが入ったと思うのですが、いかがでしょうか?
良く気付きましたね。僕、『カバチタレ!』からなんですよ、変わったのが。それまでコメディじゃなくて、『神様、もう少しだけ』とか『彼女たちの時代』(99年、深津絵里主演)とか、わりとド真面目な作品が得意なのかなって自分でも思ってたんです。だけど『カバチタレ!』の深津絵里さんとの出会いですよね。演技のクオリティが高くて、スピード感とリズムでここまで面白くなるのかって思いました。
あの作品も“真面目ボケ”じゃないですか、だからあれでコメディのコツをつかんだというか、そこから『できちゃった結婚』(00年、竹野内豊主演)になり、『電車男』や『のだめ』になり…と、だんだんコメディが磨かれていったという感じですね。そもそも僕は『神様―』みたいなのも得意なんですよ?(笑)。だけど、コメディがヒットしてきたんでそういう仕事があまり来なくなっちゃて(笑)。本当は、シリアスなもののほうが得意なんです。『今夜、ロマンス劇場で』(18年公開の映画、綾瀬はるか主演)とか、真面目なものもやってるんですよ(笑)
(※)『カバチタレ!』…常盤貴子と深津絵里のW主演。行政書士事務所を舞台にした法律バトルと、彼女たちの他愛ない会話劇や恋愛を織り交ぜたコメディ作品。サブキャストとして光った篠原涼子や、デビュー間もない山下智久や香里奈、妻夫木聡など今見るとそうそうたるメンバーが登場する。また脚本家である大森美香のGP帯ドラマ単独執筆デビュー作で、この作品をきっかけに人気作家となっていった。
――『カバチタレ!』は特に第1話が好きで、テンポのあるセリフとか、音楽のかかり方とか、僕の頭の中にずっと残ってます。
テンポとリズムは『カバチタレ!』でつかんだんですよ。小道具とか小細工に走るんじゃなくて、芝居だけでどう面白く見せていくかっていう技術は『カバチタレ!』の深津さんのおかげで身についたんですね。だから深津絵里さんにはとっても感謝しています。
●武内英樹
1966年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学卒業後、90年にフジテレビジョン入社。『神様、もう少しだけ』『カバチタレ!』『電車男』『のだめカンタービレ』『デート~恋とはどんなものかしら~』などドラマのほか、『テルマエ・ロマエ』『今夜、ロマンス劇場で』『翔んで埼玉』などの映画も監督している。