昔IBM、いまレノボの、ThinkPadシリーズで“正統派薄型ノート”のポジションを担うのが「ThinkPad X1 Carbon」です。とはいえ一言で「X1 Carbonだ」といっても、もはや「ん?それはどのX1 Carbonですか?」と普通に返ってくるくらい、シリーズが登場してから長い月日が経ち……。その間、順調にアップデートしたモデルが継続して登場しています。

今回取り上げるのは2019年1月に北米で発表され、日本ではこの6月に登場したモデルです。この記事では便宜上「X1 Carbon 2019」と呼ぶことにします(同様に、他のX1 Carbonと比較するときには、それぞれ登場した西暦を最後につけて区別)。X1 Carbonシリーズとしては7代目になります。税別価格は233,000円からです。

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    7代目となるThinkPad X1 Carbonの2019年モデル

なお、レノボ・ジャパンはビジネス利用を主目的としたThinkPadらしく、X1 Carbon 2019の特徴としてディスプレイ上部に4基のマイクを内蔵したことによる、Web会議などにおける利便性を訴求します。ただここでは、モバイル利用も重視する薄型ノートPC本来の項目といえる「携行のしやすさ」「処理能力の高さ」「本体インタフェースの使いやすさ」「キーボードやディスプレイの快適さ」「静かなところでも使える静音性」を中心に評価していきます。

より軽くより薄く、ちょっとだけコンパクトに

X1 Carbonシリーズは2012年に登場した初代から「薄く軽く」をアピールしてきましたが、ボディ素材や内部レイアウトの改良によって、代を重ねることにより薄く軽くなっています。X1 Carbon 2017では本体サイズが幅9.5mm、奥行き11.9ミリと、一気に小型化が進みました。

続くX1 Carbon 2018では、サイズに変化はありませんでしたが、今回のX1 Carbon 2019は、幅と奥行きは従来とほぼ同じながら(カタログスペック的には幅が0.5mm、奥行きが0.1mm減ったことになっています)、本体の厚さは15.95mmから14.95ミリと1mm薄くなりました。さらに、本体の重さも約40g軽くなっています。レノボ・ジャパンは、天板の素材を改良し、それまでと比べて耐久性能はそのままで10%の軽量化を実現したと述べています。面積に影響する部材の軽量化は、40gの削減に大きく貢献しているはずです。

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    評価機材の重さは実測で1,087g

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    標準付属のACアダプタはコード込みで248g

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    天板は素材を改良して強度を確保しつつ軽量化

せっかく天板の話が出たのでわき道にそれますが、X1 Carbon 2019は「新しいカーボン柄」とレノボ・ジャパンは語っています。“カーボン柄”と聞くと「カーボンチューブの格子模様」をイメージしますが、X1 Carbon 2019の天板でも、そのような格子柄模様の天板をオプションで用意しています。

天板素材の変更で「指紋跡が付きにくくなりました」ともしています。ただし、今回評価した従来と同じ天板を採用したモデルでは、天板を不用意に触った私の指跡は(たぶん)多少は薄くなったのかもしれませんが、しっかり視認できるほどに残っていました(そしてなぜかふき取るのに手間取った)。

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    ThinkPadロゴは健在。今回評価したのは従来と同じ“ノーマル”な天板

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    X1 Carbon 2018で登場した「X1」ロゴも継承

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    底面に増設や換装用のフタはありません

一方で、わずか40gとはいえ1.09kgと、あともう少しで“アンダー1kg”になりそうな軽さは、「これ、本当に14型ディスプレイ搭載しているの?」と疑ってしまうほどです。本体のフットプリントからイメージする重さを予想して本体を持つと「ふわっ」と持ち上げてしまうでしょう。ええ、私がそうでした。

この軽さとThinkPad X1 Carbonの「一枚板のようなボディ」、そして、滑りのいい天板と底面の表面質感のおかげで、バックへの出し入れがすこぶるよろしいのは、移動中に乗り物の中で使う場面でもスキマ時間にカフェで作業をする場面でも、大変快適でありました(このような場面で「PCの出し入れに手間取って時間を消費する」ことのストレスと危険性は、使い勝手に大きく影響します)。

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    名古屋遠征でX1 Carbon 2019を使ってみました。新幹線のテーブルでは、標準のカップ受けに重なってしまいました、それでもギリギリコーヒーカップと共存

  • ThinkPad X1 Carbon(2019年モデル)

    名古屋駅地下街にある喫茶店「コンパル」の2人用テーブルで。コンパル名物の「熱々珈琲を氷の入ったコップに注ぐ」アイスコーヒーのセットと共存可能