日本が“中核市場”になったことで何が変わる?

――御社は、これまでMVNOでの販路が少なかったようですが、moto g7シリーズではMVNOの販売が大きく広まっているようです。

ダニー氏:MVNOとは「Moto G5 Plus」の時から話をしていて、確実に増えてきていると思います。今年はmoto g7シリーズを3機種用意し、好きなものを選んでもらえるようになりましたが、各シリーズにつき1機種ずつしか用意していなかった時と比べてすそ野が拡大し、選択肢が増えたことがメリットになっていると思います。

日本でmoto g7シリーズの立ち上がりが良かったことに伴い、いくつかのMVNOでキャンペーンを実施しています。各社ごとにバリエーションのあるキャンペーンを展開し、いろいろな商品を扱ってもらうことで、moto g7シリーズ以外の商品も好調に売れているようです。

――最近は、SIMフリースマートフォンでもサポートを重視する企業が増えています。御社もサポート体制を強化する考えはありますか?

ダニー氏:よりよいサポートは顧客のフィーリングだと思っています。現在は故障率が1%と低いですし、修理も端末が送られてから1日で修理し、送り返すことができています。ですので、99%のユーザーはサポート品質に満足してもらえるのではないかと考えています。

ですが、7月からは現在平日だけ受け付けている電話サポートを、土日も含め終日受付する試みをしています。現在は火曜から木曜までの電話が一番多いのですが、1週間サポートを受け付けたうえで何曜日の電話が一番多いかを見極め、今後のサポートに生かしていきたいと考えています。

――2019年5月30日の発表会では、日本を中核市場に位置付けるとの発表がなされました。これによって、具体的にはどのような変化があるのでしょうか。

ダニー氏:実は去年、東南アジアや中東、アフリカのいくつかの国で、事業をいったん整理しています。それに対し、日本は事業が伸びていることから、コアマーケットとして認識するようになりました。どのマーケットを重視するかはいろいろな要素を見て判断していますが、海外では保証やクオリティに目をつぶってでも価格を求める国もあり、それは我々が目指す方向性とは違っている。日本の顧客が嗜好するブランドやテクノロジーが我々の方向性とうまくマッチしているからこそ、日本では売上が伸びているし、競争力もあるのだと考えています。

  • モトローラ・モビリティ・ジャパンは3四半期連続で黒字を達成するなど、順調に成長を遂げている

モトローラは日本で長くビジネスをしていますが、グーグルやレノボの買収によるオーナーの方針変更によって、その取り組みは変化しています。グーグルの傘下だったころは「RAZR」や「Nexus 6」などでキャリアとのビジネスを重視していましたが、レノボ傘下となってからは小売店を重視することとなり、SIMフリー市場での取り組みに力を入れるようになりました。

  • 2014年にソフトバンクのワイモバイルブランドから発売された「Nexus 6」は、モトローラ・モビリティがグーグル傘下だったころに開発されたものだ

ただ、レノボからはキャリアとも話をするよう新しい方針が出てきているので、その準備を着々と進めているところです。日本は、顧客のブランドや機種に対する要求水準が高い国であり、それが世界のマーケットからの要求であるという認識を持っています。モトローラブランドの端末を持ってくることができる唯一の会社として、堅調にやっていきたいですね。