同じものは二つとない珠玉の逸品「勝色特別仕様」
このような、日本独自の技術を注力して用意したのが吉崎氏の説明にもあった「わざ(技)と粋を集めた珠玉の逸品」となるVAIO設立5周年モデルの「勝色特別仕様」です。この特別仕様はVAIO SX12とVAIO SX14で用意されます。
勝色とはVAIOのコーポレートカラーで、「古来、勝ちを導く縁起色」という意味があります。勝色特別仕様では、天板とパームレストにこの勝色を施していますが、それぞれ、複雑な工程によって高級感のある仕上がりとなっています。天板(VAIOでは「勝色カーボン天板」と呼んでいる)は、2枚のカーボン層で繊維方向を直交させて強度を持たせたパネルの上に特別に開発した「勝色透明塗装」を施し、さらにその上に透明なUVコーティングで覆うことで、カーボンの繊維パターンを勝色で着色した工芸品のような質感で仕上がっています。
また、パームレストではアルミパネルの上に生成するアルマイト被膜に自然生成の藍を含む染料を塗布しました。黒崎氏によると、自然藍を含み染料はアルマイト膜にできる微細(直径数十ナノメートル)な穴の中に付着してパームレストを「染める」そうですが、このアルマイトの微細な穴が一つ一つ形成するパターンが異なるため、光の当たり加減で発する色やヘアラインのようなパターンにおいて、「同じものはできない」といいます。「まさにイッピンもの」(黒崎氏)。
黒崎氏はVAIO SX12の登場でVAIOのラインナップは完成したといいます。
次世代のモバイルワークに対応するVAIO SX12にVAIO SX14、新しい働き方(使い方)を可能にするVAIO A12、デスクワークを進化させる(デスクトップPCの代替え)VAIO S15、とそれぞれに役割を与えることで、ビジネスニーズに全方位で応えるとしています。
製品発表会では、VAIO S11の問題を解決するためにVAIO SX12を開発したという説明があったので、私はてっきり「ん? VAIO S11はなくなるのかな」と思ってしまいましたが、質疑応答で「ラインアップの整理集約はあるのか」という問いに林氏は「これがラインアップの完成。整理集約はない」と力強く断言していましたので、法人向けのみかもしれませんが、VAIO S11はこの先も存続するのでしょう。
コウペンちゃんがロボットに
製品説明会では、VAIO SX12の他、自社ロボットとして初めての製品となる予定の「おはなしコウペンちゃん」(仮称)の開発も表明されました。
こちらは、VAIOのEMS事業部が手掛けるロボット関連製品です。同社NB事業部NB設計部部長の児島信二氏は、現代のロボット開発において全てを一社がカバーするのではなく、パートナー企業との連携が必須であると説明します。そのため、VAIOでも自社でカバーできない音声認識や音声合成、AI、ハードウェアにソフトウェアの設計、DSP、顔検出に顔認識などはパートナー企業と連携して開発しています。
このような、複数の企業は関わる開発では、ロボット開発のための汎用プラットフォームがあると効率が向上します。VAIOでは、ロボットOSフレームワークを開発していますが、そのフレームワークを実装したハードウェアも用意しています。既にハロやAtomなどのロボットに適用できる「Middle」がありますが、今回、より低コストで、その代わり処理能力や機能を絞ったハードウェアとして「Simple」と「Mini」をリリースしました。
これらは、ロボットだけでなくIoT機器、そして、ぬいぐるみに内蔵して会話メインのコンパニオンとしても利用できます。VAIOでは、Simpleを内蔵したコミュニケーションロボットの製品化を明らかにしました。Simpleはぬいぐるみに内蔵する予定ですが、そのキャラクターに、イラストレーターのるるてあさんがSNSで発表した「コウペンちゃん」を採用します。SNSのおけるコウペンちゃんの発言をクラウドに蓄積し、ネットワーク経由でSimpleにアップデートすることで、ぬいぐるみの発言も更新していくようになるとのことです。