「メインマシンの最小形」はどのようにして実現したか
そのVAIO SX12の特徴を説明したのが同社PC事業部PC事業企画課の黒崎大輔氏です。黒崎氏は、VAIOの11.6型モバイルノートPC「VAIO S11」に対して、「優れたフォームファクタでありながら13型級ディスプレイを搭載したモデルと比べて市場が広がっていない」といいます。そしてその理由として、デスクトップPCや大画面ディスプレイ搭載ノートPCと比べてピッチが狭いキーボードの使いにくさや、13型級と比べて仕事で使うには狭いディスプレイサイズを挙げています。
黒崎氏は、この狭いキーボードとディスプレイの問題を解決したモバイルノートPCを実現するために、VAIO SX12では「サブノートサイズにフルサイズキーボード」「サブノートサイズに大画面ディスプレイ」を搭載したことを訴求しました。
キーボードでは、ボディ側面ギリギリまでキーボードユニットを広げることで、キーピッチをVAIO S11の約16.95mmから約19mmと、デスクトップPC向けキーボード相当としています。さらに、ディスプレイでは、ベゼルをVAIO S11の上端部約19.46mm、側部約12.24mmから上端部を約16.11mmに、そして、側部約4.97mmと半分以下にしたことで、VAIO S11と比べて一回り大きい12.5型ディスプレイの搭載を可能としました。
VAIO SX12で最も苦労したのは搭載ポート
このような改良によって、フットプリント(本体幅と奥行きのサイズ)は287.8(幅)×203.3(奥行)mmとA4サイズよりコンパクトに収まり、本体の重さも最上位構成でも900グラムを切っています。
また、処理能力においては従来のVAIO製PCで導入していたVAIO TurePerformanceを継承して、同じCPUを搭載する競合製品を上回る処理能力が発揮できる一方で、バッテリー駆動時間はJEITA 2.0に準拠した測定で約14.5時間に達すること、そして、ビジネス利用では重要な本体搭載インタフェースでは、側面ギリギリまでキーボードユニットが及んでいるにもかかわらず、キーボードユニットとインタフェース関連パーツが重なる部分の設計を工夫することで、USB Type-Cといった最新の規格以外にもアナログRGB映像出力のD-Sub 9ピンといった“場所を取る”規格まで本体に搭載しています(黒崎氏も「この部分がVAIO SX12で最も苦労したところ」と振り振り返ったほど)。
黒崎氏は、アナログRGB映像出力まで本体に搭載した理由を「日本独自のビジネス環境に対応するため」と説明しています。このように、VAIOの製品企画や開発陣では「日本のメーカーだからこそのこだわり」についても、国内キャリアのLTEへの最適化やスマートフォン充電器対応、そして、全ての工程を日本で実施する生産体制などを訴求しています。