伝統の酒造りを見学できる「菊正宗酒造記念館」

菊正宗酒造は、酒造りを行う醸造所とは別に、「菊正宗酒造記念館」がある。酒造りの過程や過去に使われていた酒造りの用具類など、菊正宗の伝統に触れられる資料館だ。

  • 菊正宗酒造記念館

  • これは菊正宗の板看板。明治末期から昭和16年ごろまで大阪支店に掲げられていたものらしい

以前は1659年に神戸市内に建てられた酒蔵を移築した建物を使っていた記念館だが、阪神淡路大震災で倒壊してしまい、1999年に復興オープンしたのが、現在の記念館となっている。震災でも、収蔵していた用具類は無事に発掘できたため、歴史的な資料は今も以前のように見学することができる。

「ほぼ全てが国指定重要有形民俗文化財」という酒造展示室内の用具類は、江戸時代から続く、酒造りにこだわり続けた同社の歴史を伝えてくれる。酒造展示室だけでなく、映像や展示で詳しい歴史を知るコーナーも用意され、見学ツアーを利用すればさらに詳しい話を聞くことができる。

  • 酒造りに使われていた用具類。昔の酒造りの様子がうかがい知れる

もちろん、きき酒コーナーも用意されている。加熱処理を行っている「生原酒」や季節の酒を試飲することができる。その場で購入も可能で、神戸限定、記念館限定の日本酒はお土産にも最適だ。

  • お土産やきき酒ができる売店コーナー

その隣に建つのが「樽酒マイスターファクトリー」。菊正宗の「樽酒瓶詰(樽びん)」の誕生50周年を記念して設立されたこの建物は、樽酒造りを紹介するだけでなく、実際の工房として樽酒に欠かせない樽作りなどを見学できる。

  • 樽酒の全てが分かる樽酒マイスターファクトリー

  • 樽に使われているのは樹齢100年の吉野杉

  • できあがった樽

  • 材料は吉野杉の丸太から切り出す

樽酒は、節ができないように育てた吉野杉を材料に樽を作り、そこに酒を詰めて香りも楽しめるようにしたもの。ファクトリーでは、樹齢100年の吉野杉の丸太を割り、丸みと厚みを一定にそろえた杉板(榑)を使って樽を作っていく。圧巻は、数メートルの長さの竹を割って削り出し、それを樽の外周に合わせて結っていく「箍巻き」と呼ばれる作業。数メートルの長さの竹を手作業で手際よく結っていく熟練の技は見とれるほど。

  • 数メートルに及ぶ竹を結っていく箍巻き

  • あっという間に結い上げていく

さらに、その箍に合わせて杉板の榑を並べて円筒状にして樽の形に仕上げるが、21~22枚の榑が職人の感覚でピッタリと収まる様は思わず感心してしまう。職人たちが酒を詰める樽を実際に作り上げていく様子を見学できる樽酒マイスターファクトリーは、1日3回、予約をすれば誰でも無料で見学できる。

  • 箍はこの外周に巻き付けられるもの

  • 杉板を職人の感覚で並べて樽にしていく

  • 特にサイズを測るわけでもないのに、ピッタリと収まっていく

■ 菊正宗酒造記念館
営業時間:9時30分~16時30分
休業日:年末年始
住所:〒658-0026 兵庫県神戸市東灘区魚崎西町1-9-1