FutureMark
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

ゲーム系は以上だが、普段の使い勝手の評価のためにPCMark 10も実施してみた。このPCMark 10、5月27日にVersion 2.0が登場した。大きな違いは以下の2点である。

  • Battery Life Benchmarkが追加
  • Microsoft Application Benchmarkが追加

前者は文字通りノートPCでのバッテリー寿命確認のもの。後者は、かつてPCMark 8にあったApplication Benchmarkであり、実際にOffice 365(Excel/PowerPoint/Word)とMicrosoft Edgeを利用してのアプリケーションベンチマークを実施してくれる(ちなみにこれを実施するためには、当然だがテスト機にOffice 365がインストールされている必要がある)。

まずグラフ32がOverallの結果である。PCMark 10/PCMark 10 Extendedで妙にRadeon RX 570の結果が低いのは、Digital Contents Creationがあまりかんばしくない。

こまかく結果を見てみると、Video Edition Go(インスタントのトランスコード)が、GeForce系がほぼ60fps前後なのに対し、Radeon RX 570が15fps弱なのと、Video Edition Downscale OpenCLがGeForce系は250~270fpsなのに対し、Radeon RX 570は72fps前後と低迷していることだ。

以前Radeon VIIのレビューの際にTuringがOpenCLのサポートから外れたという話をしたが、今回利用したGeForce Driver 430.64 WHQLのリリースノートを見るとTuring系のGPUが全てOpenCLをサポートしており(27ページを参照)、逆にOpenCLに対応しているはずのRadeon RX 570の成績がかんばしくないという結果になっている。しかし、これはRadeon側のドライバの問題な気もする。

逆に言えば大きな性能差があるのはここだけであり、Gamingの結果などは妥当に思える。総じて、2Dアプリケーションに大きな性能差は(当たり前だが)無いとして良いかと思う。

グラフ34が今回追加されたApplication Bencharkの詳細であるが、なぜかExcelだけ大きな差がある(ほかはまぁ同等というか、本来Excelも他と同じように大体同じでないといけない)。

そこでExcelのテスト結果を見てみた。Excelの場合、Edit / Building Design Recalculate / Stock History Recalculate / Start / Load / Save / Close / Copy Formulas / Copy Data / Copy Compute 1 / Copy Compute 2 / Resizeという12種類のテスト(所要時間は概ね1秒未満だが、いくつか数秒のテストが含まれている)を実施、その所要時間の相乗平均の逆数からスコアを算出している。

ということでこの12種類のテストについて、GeForce GTX 1650を100%とした場合の所要時間比を示したのがグラフ35である。所要時間だから、大きいほど遅くなるが、ほとんどのテストは同等ながら、Edit/Copy Formulas/Copy Dataの3つについては20~50%ほど所要時間が増えている。

PCMark 10も3の平均値であるが、生データを見ると3回とも、この3つのテストでRadeon RX 570のみ所要時間が明確に増えており、誤差とかそういう話ではなく、確実にこのテストで何かしら負荷が余分にかかるらしい。ちょっと気になるところではある(*1)。

これ以外は特に大きな問題らしいものは見つからなかった。一応PCMark 10での結論は「たまにRadeon RX 570が妙に負荷が上がる事があるが、概ねどの製品でも変わらず」という事になる。

(*1)なんで気にかかるかといえば、筆者の原稿書きマシンにはRadeon RX 570×2が入っており、しかもExcelをバリバリ使うためである。なんでRadeon RX 570を選んだかといえば、1枚あたり5つの画像出力が得られる中では一番安かったためである。うーむ。