2019年2月にNVIDIAはGeForce GTX 1660 Ti、3月に無印のGeForce GTX 1660、そして4月にGeForce GTX 1650を発表した。

今回はこの3製品をまとめて評価した。余談であるが、ベンチマークそのものはそんなわけで5月中に完了していたのだが、COMPUTEXの取材やらAMD Next Horizon Gamingの取材やらが挟まって、原稿執筆が遅くなってしまったことをあらかじめお詫びしておく。

GeForce GTX 1650/1660/1660 TiそのもののスペックはGeForce GTX 1650の発表時にまとめられているので、ここでは繰り返さない。チップとしてはGeForce GTX 1660/1660TiがTU116、GeForce GTX 1650のみがTU117を利用している。

今回評価に利用したのは、GeForce GTX 1650がASUS ROG-STRIX-GTX1650-O4G-GAMING(Photo01~06)、GeForce GTX 1660がASUS H-GTX1660-O6G(Photo07~12)、GeForce GTX 1660 TiがASUS ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING(Photo13~18)である。これだけだとさびしいので対抗馬として、AMD Radeon RX 570搭載製品MSI Radeon RX 570 ARMOR 8G OC(Photo19~24)を用意した。

これはAMDがRadeon RX 570を「GeForce GTX 1650と同等以上の性能で、しかも廉価」と位置付けているためで、このAMDの言い分を検証するのもこの記事の目的の1つとなる。

  • Photo01:外箱はGeForce GTX 1650としてはちょい大きめ

  • Photo02:本体サイズは240mm×115mm×39mm、重量は627.4g(いずれも測定値)。ちょっと高さがあるのが特徴

  • Photo03:裏面までフルカバー

  • Photo04:出力はHDMI×2、DisplayPort×2

  • Photo05:TDP 75Wということもあり、補助電源は6pin×1のみ

  • Photo06:まだドライバのロード中にGPU-Zを掛けてしまったので、GPU Clock/Memory Clockが正しく取得できていない(NameがMicrosoft基本ディスプレイアダプターになっている事でそれが分かる)

  • Photo07:今回一番小さいパッケージ

  • Photo08:本体サイズ175mm×105mm×39mm、重量は342.9g(いずれも測定値)。こちらも高さはちょっとあるが、コンパクトかつ軽量なので狭いケースに向いている(高さが若干問題になる場合はあるかもしれないが)

  • Photo09:裏面はカバーレス。ファン径がもう少し小さければ高さを詰められそうだが

  • Photo10:出力はDisplayPort/HDMI/DVI-Dが各1基ずつ

  • Photo11:TDP 150Wに対応して補助電源は8pin×1に

  • Photo12:こちらはちゃんとGPU-Zでデータが取れている

  • Photo13:3連ファンとあって長さもそれなりで、当然外箱も一番の大きさ

  • Photo14:本体サイズは300mm×120mm×50mm、重量は1185.8g(いずれも測定値)。GeForce GTX 1660TiというよりもGeForce RTX 2080クラスの寸法と重量である

  • Photo15:裏面もフルカバード。このカバーが基板面から結構離れた位置にあるのも幸い(?)して、厚みが50mmに達している(表側のファンカバー部も結構厚い)

  • Photo16:出力はHDMI×2、DisplayPort×2。このアングルだと厚みが50mmもある理由が分かりやすい。実質3スロット占有と考えるべき

  • Photo17:ここまで仰々しいにも関わらずTDPは150Wなので、補助電源は8pin×1

  • Photo18:こちらもTU116コアを利用

  • Photo19:外箱の大きさは、今回で言えばGeForce GTX 1660とGeForce GTX 1650の丁度中間くらい

  • Photo20:本体サイズは245mm×110mm×39mm、重量は630.7g(いずれも測定値)。ファンの裏に突き出しているヒートパイプを除いた場合の高さは96mmほどになる

  • Photo21:裏面はすっきりしたもの。カバーなどはない

  • Photo22:出力はDisplayPort×3、HDMI×1、DVI-D×1

  • Photo23:こちらもTDPは150Wなので、補助電源は8pin×1

  • Photo24:スペック通りの結果となっている

テスト環境は表1に示す通りだ。ちなみにテスト開始時点でVisual Studio Subscription Download(旧MSDN Subscription Download)ではWindows 10 Version 1903は入手可能になっていたのだが、いろいろなベンチマークが片端から動かないという現象に見舞われ、泣く泣くVersion 1809を再インストールした。ただ今後登場するRyzen 3000シリーズにVersion 1903は必須なので、早めにベンチマーク系の対応が進むことを期待したい。

CPU Intel Core i9-9900K
M/B ASUS ROG STRIX Z370-F Gaming
(BIOS Version 0905)
メモリ Corsair CML16GX4M2A2666C16
(DDR4-2666 CL16 8GB×2)×2
ストレージ Intel SSD 600p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
グラフィックス ASUS ROG-STRIX-GTX1650-O4G-GAMING
ASUS PH-GTX1660-O6G
ASUS ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING
(GeForce Driver 430.64 WHQL)
MSI RADEON RX 570 ARMOR 8G OC
(Radeon Software Adrenalin 2019 19.5.1)
OS Windows 10 Pro 64bit 日本語版 Version 1809 Build 17763.194

細かいところでは、従来利用してきたIntel 600p SSD 256GBを今回Intel 660p SSD 512GBに置き換えている。大分長期間利用してきて性能がやや悪化してきたための対処である。

ところで今回、4製品ともにOC版なので、定格とどの程度差があるのか、をまとめたのが表2である。おおむね若干の性能アップに留まっているのだが、唯一GeForce GTX 1650のみBoost Clockが1665MHz→1830MHzで10%ほど高めのアップになっている。

製品名 Base Clock(MHz) Boost Clock(MHz) Memory Clock(MHz)
GeForce GTX 1650 Reference 1485 1665 8000
ASUS ROG-STRIX-GTX1650-O4G-GAMING 1485 1830 8002
GeForce GTX 1660 Reference 1530 1785 8000
ASUS PH-GTX1660-O6G 1530 1800 8002
GeForce GTX 1660 Ti Reference 1500 1770 12000
ASUS ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING 1500 1860 12002
Radeon RX 570 Reference 1168 1244 7000
MSI RADEON RX 570 ARMOR 8G OC 1168 1268 7000

したがって、GeForce GTX 1650のみ「ちょっとだけ高めの」下駄が履かされた結果になっていると理解してほしい。まぁ実際にはリファレンスのスペックで販売されている製品が事実上存在しないから、これが正しい実際の状況と見做すべきかもしれないが。

なおグラフ中の表記は以下のようになる。

  • GTX1650:ASUS ROG-STRIX-GTX1650-O4G-GAMING
  • GTX1660:ASUS H-GTX1660-O6G
  • GTX1660Ti:ASUS ROG-STRIX-GTX1660TI-O6G-GAMING
  • RX570:MSI Radeon RX 570 ARMOR 8G OC

また、原稿中の解像度の表記は次の通りだ。

  • 2K:1920×1080pixel(Full HD)
  • 2.5K:2560×1440pixel(WQHD)
  • 3K:3200×1800pixel
  • 4K:3840×2160pixel