奥野、押田、山口がステージを離れ、代わりに『RIDER TIME 龍騎』の白倉伸一郎プロデューサー、武部直美プロデューサー、柴崎貴行監督(※柴崎監督の崎は立つ崎が正式表記)が登場し、萩野と弓削がホストを務める「王蛇の宴」のコーナーが始まった。

白倉氏は、今回の『RIDER TIME 龍騎』の企画の成り立ちについて「もともとは昨年の2018年に、弓削くんが『今年は『龍騎』の放送終了から15年だから、記念になる作品を作りませんか』と提案されたのが始まりでした。それで『龍騎』のスタッフ、キャストが集まって、食事会を催したりしていたんですけれど、そのころすでに『ジオウ』の企画が動き始めていたんですね。それで『ジオウ』のスピンオフという形なら『龍騎』の新しい物語を作ることができるかな、なんて考えをめぐらせて今回の作品が立ち上がったんです」と、企画の発端に弓削からの提案があったことが明かされた。

『龍騎』テレビシリーズのころはセカンド助監督を務め、俳優部との接点が多かった柴崎監督は「まさか17年前一緒にやっていた仲間たちと、新しい作品を作ることができるとは……」と感慨深げな様子を見せ「監督業は孤独なものなのですが、今回は信頼できる俳優たちに助けられ、非常に楽ができました」と、作品の出来栄えに確かな自信をうかがわせた。松田は「柴崎さんとは同い年で、僕が遅刻をして石田(秀範)監督から怒られたときなどでも、防波堤になってくれた。当時からとても大人で、しっかりした印象だった」と、当時の柴崎監督との思い出を語った。

『龍騎』に登場する仮面ライダーのキャスティングに関しての話題では、松田が「放送当時、武部さんに『(自分が)共演するのが怖くなるくらいの(実力ある)同世代の俳優を出してほしい』と要望したことがありました。そこで武部さんが『とっておきの俳優を用意している』と力強く答えて、その後やってきたのが高野八誠くんでした」と、若い俳優同士が互いに刺激を与えあうよう魅力的なキャスティングを組んだ武部氏の手腕を称えた。また、武部氏は『RIDER TIME 龍騎』が実現したことを受け、「アメコミヒーローのアイアンマンみたいに、"おじさんが変身するヒーロー"ってカッコいいと思っています。そういう意味では今回みたいに、40代のヒーローがたくさん出てくる作品をこれからも作っていけたら」と、若者ヒーローとは別なラインでの"おじさんヒーロー"をクリエイトしていきたいと意欲を燃やした。

イベントの最後はメインの6人に奥野、押田、山口がふたたび加わり、1人ずつファンに向けてメッセージを贈った。

萩野は「17年ぶりに新作がこういう形で作ることができたのは、ファンのみなさんのおかげ以外のなにものでもありません。多くの人たちの応援、声援があるからこそ、こういう時間をすごすことができたと思っています! これからはぜひ『龍騎』のさらなる続編や『超光戦士シャンゼリオン』の新作を!(笑)」と、ファンへの熱い感謝の思いと次なる新作への意欲をアピールした。

弓削は「僕が吾郎を演じるときは、常に北岡先生のことを考えているんですけれど、今回は涼平さんと共演できなくて、ちょっと複雑な思いではありますね。でも『龍騎』の新作に出演できたのは、僕にとってのご褒美だと思っています。企画を出したときは無謀だったかな……と心配しましたが、白倉氏・武部氏お2人の心を動かすきっかけになっていたとしたらうれしく思っています」と感慨深く語った。

一條は「ガイは"(王蛇の)ガードベント"から、今回の作品でまた違った名前で呼ばれるようにもなりました(笑)。テレビシリーズから17年後、まさか自分がこんな舞台の上に立っているとは、思いもしませんでした。またファンのみなさんのお声をうけて『龍騎』をやることができたら幸せ」と、しみじみと現在の素直な心境を明かした。

高野は「ふたたび『龍騎』をやるにあたっては"お祭り"でいいんじゃない、と思っていましたから、最終的にこんな楽しいお祭りに出ることができてよかった。役者を続けていれば、次の"祭り"があると思いますので、そのときはまたみんなで集まりましょう」とさわやかな笑顔でファンに呼びかけた。

山口は「『RIDER TIME 龍騎』という作品に携わることができて、心から幸せに思っています。僕としては、木村がどこかで真司くんとビールを飲むことができていればいいな、と思っております」と、劇中での木村と同じ"いい奴"オーラを放ちながらさわやかに挨拶した。

押田は「『ジオウ』が平成最後の仮面ライダーになれたのも、歴史を作った多くの先輩たちのおかげだと思っています。そんな先輩たちが久しぶりに帰ってきてくださったことをうれしく思います」と、17年という歳月を経て新作が作られた『龍騎』という作品と出演者たちに敬意を払いながら挨拶を行った。

奥野は「素敵な先輩方、素敵なお客さんに囲まれ、素敵なステージに立てたことがうれしかったです。17年後、僕たちもこんな企画ができたらいいなと思えるような作品であり、イベントでした。自分から行動を起こすことの大事さを見習いたいと思います!」と、仮面ライダーとしても俳優としても魅力的な先輩たちの勇姿に深い感銘を受け、自分たちも同じように成長した姿で戻ってきたいと抱負を語った。

松田は「イベントの前日、(中国を舞台にした)ある映画を観ました。なぜ俺はこの映画に出演していないんだろうと悔しくて、エンドロールが終わっても席を立てなかった。本当に悔しくて、いろんなことを考えました。自分の今までの人生は何だったのか、くらいに……。でもそのとき、もし自分が『仮面ライダー龍騎』に出られていなかったら、これどころの悔しさじゃないなと思って、顔を上げて映画館を出ました。僕は今年で俳優生活20周年を迎えます。『龍騎』当時は、オーディションでケンカをするような未熟な俳優でした。そんな僕を秋山蓮に選んでくださったスタッフの方々、そして、技術も何もなかった僕を愛してくださり、応援してくださったみなさんがいてくれたからこそ、今日までやってこられたんだと、1人残された映画館の中で噛みしめていました。まあまあ……、大変だった20年だったので、今日みなさんと顔を合わせられたということが本当にうれしくて……。これでまた明日から頑張れる!と思います」と、感極まって涙声になりながら、自らの原点を見つめ直し、改めて俳優として今後もまい進していく宣言をした。

須賀は「イベントが始まるとき、僕たちは裏でスタンバイしていたんですけれど、始まったとたんみなさんの熱狂的な声がガンガン聞こえてきまして……。もう、これは何だと。放送が終わってから16年にもなるのに、まだ『龍騎』をこんなにも愛していただける。そんな作品に出演していたんだな、という思いを改めて実感した瞬間でもありました。僕にとっても俳優の原点。たぶんいくつになっても"この作品がなかったら、俳優として成り立っていなかったかもしれない"と思える、運命的な出会いをしたことを深く感謝しています。これからもずっと『仮面ライダー』が続いていくでしょう。今放送している『仮面ライダージオウ』も『龍騎』と同じくらいみなさまに愛してもらい、育てていただきたいと思う次第です!」と挨拶し、『龍騎』ならびに仮面ライダーシリーズを愛するファンに向けての熱いメッセージを贈った。

最後はキャストたちの「変身!」の声を受けて観客が「シャァッ!」と龍騎のかけ声を決めるコール&レスポンスが行われ、盛りだくさんな内容の本イベントを感動的に締めくくっていた。

イベントの模様を収めたDVD「仮面ライダー龍騎ナイト」が、10月9日に東映ビデオから発売される。さらに東映ビデオ公式サイトで予約受付中の「仮面ライダー龍騎ナイト 限定予約版」では、スペシャル座談会を収録した 特典スペシャルディスクが付属する。予約受付は6月5日まで。

(C)石森プロ・東映