AIとソフトウェアだけではなく、ハードウェアでも「ヘルプフル」で「万人のため」なGoogleを示した。スマートディスプレイ「Nest Hub Max」、ミッドレンジのPixelスマートフォン「Pixel 3a」と「Pixel 3a XL」だ。
Nest Hub Maxは、昨年に投入した「Nest Hub (旧名: Google Home Hub)」のディスプレイを10インチに拡大した大型モデルだが、最大の違いはカメラだ。「盗み見されるのでは?」というようなプライバシーの懸念を考慮して、昨年のNest Hubではカメラの搭載が見送られた。Next Hub Maxはカメラを搭載し、ジェスチャー操作、ビデオ通話、防犯用の室内モニタリングなどをサポートする。役立つ機能を犠牲にするのではなく、逆にプライバシー保護を徹底してスマートディスプレイの可能性を広げることをMaxで選択した。
「ヘルプフル」という点では、スマートスピーカーのGoogle Homeシリーズに比べて、ディスプレイを持つNest Hubシリーズの方が役立つ幅が広い。例えば、朝に「交通状況は?」と聞くだけで通勤に関わる交通情報を表示してくれるが、音声で聞くだけよりも、マップなどを目でも確認した方がわかりやすく正確に把握できる。Nest Hubは、Googleフォトと連動したデジタルフォトフレーム、Chromecastデバイス、スマート家電のコントロールセンターとしても使用でき、Googleは同シリーズを「ヘルプフル・ホームを実現するデバイス」と表現していた。
Pixel 3aシリーズは「より手頃な価格のハードウェアでAI、ソフトウェアとの連携効果を引き出すようにデザインした」という。Pixelシリーズにおける「AI、ハードウェア、ソフトウェアの相乗効果」の代表的な例がPixelカメラだ。シングルレンズのカメラでも、クラウドと連携して写真を美しく仕上げ、ボケ味のあるポートレートや夜間撮影などを実現する。
そうした狙いを反映したスペックになっており、Pixel 3aシリーズはチップセットがSnapdragon 670 (Pixel 3はSnapdragon 845)で、ワイヤレス充電や防水を省いてコストダウンを図る一方で、カメラ性能はPixel 3と同等であり、ディスプレイに有機ELを採用、握ってGoogleアシスタントを呼び出せるActive Edgeも装備する。AppleがiPhone XSシリーズとiPhone XRで同じようにアプリを利用できるように同じプロセッサを搭載したのとは設計思想が異なる。Pixel 3aはAIおよびソフトウェアとの連携による体験という点でPixel 3と同等にし、その他の部分ではコストダウンを徹底して399ドルからという価格を実現した。
Google I/Oのタイミングで、今年第3四半期に登場する予定のAndroidのメジャーバージョン「Android Q」がベータ3に到達した。Androidユーザーの間ではダークテーマや新しいジェスチャーナビゲーションが話題だが、Googleの訴求ポイントはヘルプフルな体験に関わる機能と、ユーザーの信用につながるセキュリティとプライバシー保護の強化。基調講演では「イノベーション」「セキュリティとプライバシー保護」「デジタルウェルビーイング」の3点から、今後追加していく機能を紹介した (機能については、「Android Qベータ3登場、ダークテーマやLive Captionなど全貌明らかに」でご確認ください)。