服を選ぶ際などに、「GORE-TEX(ゴアテックス)」と記載されているタグを見つけて、「このアイテムはGORE-TEX製品だから信頼できる」となんとなく安心している。そのような人も多いのではないだろうか。そこで今回は、改めてGORE-TEX製品への理解を深めるべく日本ゴアの本社に突撃。その優れた性能を、ビジネスシーンにも使えるアイテムやメンテナンス方法などとともに紹介する。

  • このビジネスシューズも実はGORE-TEX プロダクト

そもそもGORE-TEX製品って何がすごいの?

「GORE-TEX プロダクト」とは、「GORE-TEX ファブリクス」と呼ばれる生地を用いたウェアやフットウェア、手袋、帽子などのことを指す。これらの製品は防水耐久性・透湿性・防風性といった性能を備えており、厳しい品質基準によって管理されているのだ。

ならば「GORE-TEX製品だから信頼できる」という考えは間違いではないと言えるのかもしれないが、では具体的に何がどうすごいのか。以下にその性能の詳細を紹介していこう。

  • おなじみのタグをよく見てみると「GUARANTEED TO KEEP YOU DRY」の文字が。このタグが付いている製品は、厳しい品質基準をクリアし、防水耐久性・透湿性・防風性を保証することが示されているというわけだ

GORE-TEX ファブリクスの性能のカギを握るのは、「GORE-TEX メンブレン」という素材。軽量かつ薄型で高い耐久性を備えている同素材は、1平方センチメートルあたり14億個以上もの微細な孔(あな)を持っており、それによって雨などの水は通さず汗の水蒸気は通過させる「透湿性」という機能を実現している。

  • ふにゃふにゃな触り心地のGORE-TEX メンブレン

  • GORE-TEX メンブレンは、水蒸気の700倍、水滴の2万分の1の孔を持っている

また、GORE-TEX メンブレンの細かな網目構造は、防風性にも関係している。風は“空気のかたまり”として身体に当たることで初めて「風」として実感される。つまり、GORE-TEX メンブレンの細かい網目を通り抜ける時点で空気は“かたまり”ではなくなるため、身体が「風」だとは感じなくなるのである。

  • 1969年にボブ・ゴア氏(創業者の息子)がGORE-TEX ファブリクスの元となる材料「ePTFE」を発明。以降、同社は「ePTFE」を活用し、さまざまな産業において革新をもたらしてきた

  • 鉱物の一種である「蛍石」が「ePTFE」の原料となっている

このGORE-TEX メンブレンに生地を貼り合わせたものが前述の「GORE-TEX ファブリクス」の正体なのだ。

  • 我々が普段触れている生地の奥に、高性能のカギを握るGORE-TEX メンブレンが存在している

ゴア社は、こうして作り上げたGORE-TEX ファブリクスを各メーカーに提供し、メーカーや生産工場とともに品質を高め、GORE-TEX プロダクトを作り上げている。それらのGORE-TEX プロダクトは、防水・透湿・防風の機能を発揮させるために、最終製品の段階でゴア社の厳しい品質基準によってテストされ、それをクリアして初めて世に出るのである。