YOZAN道場での取り組みと品質への思いが、他のThinkPad工場にも広がっていく

筆者は過去からいくつかノートPCの生産ラインを見てきたが、その中でもThinkPadのラインは非常に特殊だった。ラインそのものも含めて、ハンドメイドに近いということだ。スタッフからの改善希望があれば、すぐに検討して必要があれば、工場内ですぐに新しい治具の開発や改良を行う。

具体的には、「ドライバーが常に正しい向きで降りてくるようにソケット部分を斜めにカット」など、ちょっとしたアイデアが数多く採用されている。そうした細かいことの積み重ねによって、生産台数を大きく伸ばしているのだ。

  • ThinkPad X1 Carbonの製造ライン

    ThinkPadのラインで面白いのが、塩ビパイプでできたハンドメイドだということ。パーツなどを運ぶ荷台もパイプ製だ

  • ものづくりYOZAN道場

    ラインや治具を製作したり、改良したりするのが「ものづくりYOZAN道場」の仕事。江戸時代の名君、上杉鷹山の名前から来ている

  • ものづくりYOZAN道場

    工場内では様々な改良案を自由に提案でき、一つ一つに対して採用・不採用が理由付きで公開される。こういったカイゼン活動により、生産効率を向上させられるのだ

  • ものづくりYOZAN道場

    採用された改善案に対して、YOZAN道場で対応する治具を作る。写真はキーボードの検証を自動で行う治具

  • ものづくりYOZAN道場

    これはスリムになった梱包用ダンボールが倒れないためのアイデア。廃材を利用するだけで、ダンボールの破損を防いでいる

現在、モバイルに向くノートPCの購入を考えたとき、コストパフォーマンスの面で海外メーカーのモデルが有力候補になりやすい。しかし、国内生産モデルと比べたとき、品質面に一抹の不安が残る場合もあるのではないだろうか。

機械である以上、初期不良や故障を完全になくすことは不可能だが、ThinkPadの米沢生産モデルなら高い安心感を持てる。しかも、注文時にスペックをカスタマイズしたとしても、注文してから約5営業日で届くのもうれしい。グローバルブランドであるThinkPadの製品力とコストパフォーマンス、そして国内生産による安心感と手元に届くまでの速さ――、米沢生産モデルには高い信頼性が備わっているのだ。