――そもそも、本作に出演する決め手となったものは何だったのでしょう?
こういうミステリー作品の真ん中でやらせていただくことって、単発ドラマではあったかもしれないんですけど、連続ドラマではなかったんです。お話をマネージャーから聞いたときに、純粋に面白そうだと思いましたし、記憶喪失やバーテンダーもやったことがなかったもので。チャレンジが用意されているような気がしたので、すぐにやりたいと思いました。あとは(役者の)先輩で「もちろん民放も素晴らしいんだけど、WOWOWのもの作りも、勢いや情熱があるから、とっても良い経験になるんじゃないか」と後押ししてくださった方がいて、それも大きかったですね。
――そんな本作に出演したことで、俳優として得たものは?
バーテンダーのシェーカーの振り方だったり、ステアの仕方、一つ一つの所作を良いものにしていく過程が、とっても楽しかったんです。厨房に立たせてもらい、シェーカーを振り、練習するということの面白さやその時間を、とても大切にできた気がしていて。カクテルを作るシーンは自信を持って立たせてもらいましたし、キャラクターの技術を自分に馴染ませていく作業が、こんなにも楽しいんだと、改めて気づかされた現場だったなって思いました。
――本作は一つの過去についての物語であると同時に、良い選択をできなかった人々が堕ちていく様を描く物語でもあると思います。三浦さんは俳優としてのキャリアを振り返ったとき、俳優としてのご自身に明確にプラスになった選択・出会いはありますか?
まずは、アミューズに入ったというところが大きいですかね(笑)。内面的には、色々ありすぎて。語り出したら切りがないなと思うんです。でも本当に心から感じるのは、自分のターニングポイントじゃないですけど、映画『恋空』があって。そこから主演作品を担当させてもらえる機会が徐々に増えていきました。そこからというもの、どの現場も、負けることはあるし、すごくいい人と出会って助けてもらったこともあります。
やっぱり、大きな作品を任せてもらえるということは、すごく反省もあるんだけど、すごく成長できる。今につながっているんだなあって。まだまだ軟弱な俳優ですけど(笑)、そういう風に思います。やっぱり『14歳の母』から始まって『恋空』という流れが、すごく「ついていたな」って思います。
――「内面的には、色々ありすぎて」ということですが、過去の自分は尖っていた?
あったみたいですね。この間、小栗(旬)さんにまた言われました。ある友人に僕の話をするときに「春馬がね~、一時の俺みたいに、すごく尖ろうとしていた時があってさ」みたいな(笑)。そういう時期があったみたいです(笑)。
――そんな過去の自分に声をかけるとしたら、どんな言葉をかけたいですか?
尖ったというか、気が大きくなっていたんでしょうね。「そんなことをしても、別にそこから得るものって何もなかったよ」って言いたい。何もなかった(笑)。恥ずかしいことしかなかったですね。喧嘩してみたりとか。周りの人に迷惑かけてみたりとか。お酒を飲んでたりということしかなかったです。今でも酔っ払いますけど(笑)。良いものって、生まれないのかも。破壊的な感情からは。
――気持ちが大きくなったのは、役者としての躍進、つまり主演を張るようになったことと関係していたのでしょうか?
どうでしょうね。その当時も、地元のやんちゃな人間といるときは気も大きくなっていたし…。それとは違うか(笑)。わからない!(笑)。はっはっは!どうなんでしょうね?子役からやっていることが、そこに繋がっているかはわからないですけど、もちろん、人に対して不快な思いをさせたことは、きっとあると思うんです。生きてきて。別にその気がなくても「なんで今の言葉使っちゃったんだろう」とかありますよ。でもそれが、主演を任されたからっていうことなのかは分からないけど、要素としてあるのかもしれない。