続いて、最近ハイエンドスマートフォンを中心に実装が始まり、しばしば話題に上がるようになった「eSIM」について、同社の小路麗生氏から解説があった。
eSIMについては以前からIIJ関連のトークイベントでしばしば触れられてきたが、今回はそれらをコンシューマの視点からもわかりやすくまとめて解説するといった内容。eSIMとは既存のSIMからSIMのガワ(ハードウェア:UICC)と登録情報(プロファイル)を分け、登録情報だけをダウンロードして使えるようにしたものだ。
1月末にIIJから書き換えに対応したIoT向けの「チップSIM」が登場したが、これは組み込み(embedded)SIMではあるが狭義の「eSIM」ではなく、ここに情報を書き込めるようになって初めてeSIMの条件を満たすというわけだ。eSIMなら必要に応じてすぐに情報をダウンロードできるので、新たに契約してもSIMが届くのを待つ必要もなく、ひとつのSIMに複数の情報を書き込んで切り替えるといったことも可能になるため、たとえばSIMを大量に持ち歩いている人もシンプルに切り替えが可能になる。
同様に複数のキャリアを切り替えたり、情報を書き換えられるSIMはApple SIMなど過去にも登場しているが、メーカーごとにやり方がバラバラだった。これを統一して互換性を持たせたものが狭義の「eSIM」となる。iPhone XSシリーズ/XR、Surface Proなど、eSIMに対応した端末も徐々に増えつつある状況だ。
ところでeSIMのプロファイルの扱いには、メーカーやキャリアが何のプロファイルを書き込むかを管理する「M2Mモデル」と、ユーザーがダウンロードするプロファイルを選択できる「コンシューマモデル」がある。
IIJとしてはコンシューマモデルの普及を推進しつつ、eSIMへの対応実験を進めており、SurfaceやiPhoneではeSIMが利用可能であることを確認している。ただしそれですぐに商用サービスが始められるというわけではなく、どのような形でサービスインするかを検討している最中だという。
eSIMが普及することで、書籍が電子書籍に、音楽がCDから音楽配信に変わったように、キャリアショップを使わず直接端末で契約するのが当たり前というようになるかもしれない。eSIMの「e」は「Evolution」のeである、ということで締めくくられた。