――ドラマに目を向けると、苦戦が続いていたフジの月9で、7月期の『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(全話平均10.6%)、10月期の『SUITS/スーツ』(同10.8%)と、共テレさん制作ドラマが2クール連続で好調でした。
これは「月9改革」という意識を持って制作しました。これまでの恋愛中心の連ドラではなく、「1話完結の事件解決モノ」ということで、従来の若い視聴者を引きつけ続けながら、大人も狙っていくという趣旨です。『絶対零度』は上戸彩さんから沢村一樹さんに思い切って主演を代え、その時点でセカンドラインとしてのシリーズ化を視野に入れていましたが、結果が出たので、沢村さん主演でのシリーズ化を望める終わり方にしました。『SUITS/スーツ』も、フジで数々のヒット作を生んできた織田裕二さんが、今の年齢に達して、原作のアメリカ人に負けない存在感と演技の質ではまり役になったと思います。こちらも、原作がシーズン8まで作られているので、シリーズ化が狙える企画になっています。
――ドラマも勢いづくと、社内的な雰囲気はいいですよね。
そうですね。特に月曜日の放送でいい数字が出ると、1週間元気が出るもんなんですよ(笑)
――共テレさんは、上期の売上高が前年比16.2%増と業績も非常に好調ですが、この要因はなんですか?
バラエティのレギュラー番組が安定してあるのに加え、連ドラも毎クール数本やらせてもらっていますし、レギュラーも単発も制作番組が増えているんです。おかげさまで、カンテレさんで『BRIDGEはじまりは1995.1.17 神戸』(19年1月15日放送)、東海テレビさんで『大誘拐』(18年12月14日)と、フジ系列の開局60周年のスペシャルドラマをやらせていただきまして、周年ドラマを任せてもらえるのは、本当に誇りに思いますね。
――制作番組が増加している要因としては、どのようなことがあるのでしょうか?
1つには、僕が共テレに来てから、トピックをまとめたパンフレットを、「共テレニュース」として、ドラマはクールごと、バラエティは毎月作るようにしたんですよ。これを持っていろんなところに遊びに行ったときに渡してくると。このパンフレットには、番組の情報はもちろんですが、プロデューサーやディレクターの写真入りで、それぞれが手がけた作品も載っているので、それでいろんな話をして、人と人とのつながりを作っていくんです。そういうことが最近実を結んで、おかげさまで皆さんに親切にしてもらっているという感じですね。最近はAmazonさんで松本人志さんの『ドキュメンタル』『FREEZE』、Netflixさんで『あいのり Asian Journey』と配信系も増えてきました。
――やはり、ネット配信系の発注は増えているんですね。
いろんな面白い企画の卵みたいなものは、いくつかあります。配信系の皆さんは「こんなことできませんかね?」という相談をされるので、我々は“あらゆるニーズに応える総合プロダクション”ですから、企画はもちろん、技術スタッフも含めて、それに対応できるんです。
■フジから出向で活躍の場が拡大
――『チコちゃん』『人生最高レストラン』『ドキュメンタル』の小松さんや、『結婚相手は抽選で』(東海テレビ・フジ系)・『後妻業』(カンテレ・フジ系)と連ドラを2クール連続で担当される栗原美和子さん、最近いらっしゃった藪木健太郎さんなど、フジテレビから出向されてきた方たちの活躍というのは大きいですか?
フジにいたときと違って、自分たちの持っているものを発信できる出口が多い分、活躍の場が広がったと思いますね。もともと共テレには優秀な人が多いですから、一緒にやって相乗効果が生まれていると思います。
――『~両親ラブストーリー~ オヤコイ』(読売テレビ・日本テレビ系、18年9月放送)で藪木さんに取材した際、「制作部門はバラエティもドラマもワンフロアで収まっているので、風通しが良い」とおっしゃっていました。
「よし、やるぞ!」ってなったときは、本当に一丸となってできますからね。『オヤコイ』は、本当にその典型的なドラマとバラエティが融合した番組で、面白かったと思います。きっと第2弾もあると思うので、楽しみです。
――昨年は、新しく「共テレ」ロゴを作られましたよね。スタッフロールで流れると、目立って目に付きます。
7月末に創立60周年を迎えたので、景気づけにクレジット表示を変えようということにしたんです。日テレさんもカンテレさんも略称をロゴにしているので、うちも「共テレ」にして、先に子会社のベイシスで新しいロゴを作っていて、カッコよくできたので、同じデザインでブランドを統一しました。右肩上がりな感じで、気に入ってます(笑)