2015年に「iPad mini 4」が発売されて以来、3年にわたり後継製品が出ないまま現在に至っているiPad miniシリーズ。メインストリームから外れ、いつ終息するかわからない7.9型iPad miniからの乗り換えを考えたとき、6.5型のiPhone XS Maxは代わりになるだろうか? という疑問を、今回、前編・後編にわたって検討してみた。前編では本体のスペックと画面サイズの違いを比べたが、後編では、横向きにしたときの動きを比べてみる。

  • 7.9型のiPad mini 4(左)と、6.5型のiPhone XS Max(右)。なお記事内の写真は機材の関係で、iPad mini 4は現行の128GBモデルではなく、Wi-Fiの16GBモデルを用いている

iPhone XS Maxの横向きアプリは”天地”がとられがち

前編で書いたように、iPhone XS Maxを横持ちした場合、スクロール表示でも構わなければ、iPad miniよりもファイルが大きく表示できるケースがある。また、テキスト入力についても、iPhone XS Maxを横向きで両手持ちした場合は、フルキーボードの入力もスムーズに行え、iPad miniと近い操作が行える。

それだけ見れば、”代わりになる”と言えなくもないが、しかしその大前提となるのが、画面を横向きにしたとき、アプリが横向きでの利用に最適化されていることだ。実際のところ、画面を90度回転させると、ほとんどのアプリは表示も90度回転するのだが、これだけでは最適化されているとは言い難い。

よくあるのが、天地サイズの狭さに配慮していないアプリだ。気の利いたアプリであれば、画面を横向きにした時に天地が窮屈にならないよう、スクロールを始めた時点でメニューやツールバーを非表示にしてくれる。標準のメールアプリなどがこれで、画面が横長で天地サイズが狭い本製品でも快適に使えるので、非常にありがたい。

  • 標準のメールアプリでメールを開いたところ。上下のバーがあるせいで天地に圧迫感がある。実測でメール本文が表示できる高さは49mmしかない

  • スクロールを始めるとバー類は非表示になり、メール本文が表示できる高さは実測68mmにまで広がるため、画面の圧迫感は大幅に軽減される

しかしなかにはそうした配慮が一切なく、天地の余裕がほとんどないアプリも多い。例えば標準の写真アプリの一覧表示画面がこれで、縦向きであれば横4×縦7で28枚のサムネイルが表示できるのだが、横向きだと横7×縦2の実質14枚しか表示できない。写真そのものの全画面表示はもちろん可能なのだが、こうしたアプリを常用するのは相当厳しいものがある。

  • これは標準の写真アプリの一覧画面。画面が縦向きだと、横4×縦7で28枚のサムネイルが表示できる

  • 画面が横向きだと、上下のバーを非表示にするギミックもないせいで、横7×縦2の実質14枚しか表示できない

もうひとつ、これに近いケースとして、横向きにするとデスクトップモードへと自動的に切り替わってしまうアプリも良し悪しだ。標準ブラウザであるSafariがこれで、選択の余地なく切り替わってしまい、サイトによっては見え方がまるっきり変わってしまう。

  • マイナビニュースのデジタルトップページ。これを横向きに表示すると……

  • 上部にタブのあるデスクトップモードに切り替わるのだが、サイト自体はモバイル向け画面のまま拡大されてしまい、ファーストビューからほとんどの情報が追い出されてしまう

自動的にモバイル表示へと切り替わるサイトでは、これらとうまく連動しないこともしばしばであるほか、さらに下段にポップアップで広告バナーが表示される場合もあり、下手をすると天地サイズの半分程度しか、ページをスクロールできる領域がないケースもある。これらはブラウザアプリに加えてサイト側の問題もあり、なかなか一筋縄ではいかないというのが現状だ。

iPhoneでは横回転しないアプリもある

このほか、コンテンツは回転するものの、アプリ自体は回転せず、コンテンツを閉じるたびに縦向きで操作しなくてはいけないケースもある。iOS 12でリニューアルした「Apple Books」がそれで、本は横向きに(コミックは見開きで)表示できるのに、ホーム画面は縦向きのままだ。iPad mini 4であれば問題なく横向き表示が行えるだけに、なんともやるせない。

  • iBooks改めApple Booksは、画面を横向きにすると本はリフローするが、ホーム画面などは縦のままだ

  • 横向きに最適化された画面はないわけではなく、iPad mini 4では問題なく表示できるだけに困りものだ