当初は難波重工のスパイとして戦兎たちに接近していたが、第12話で和解……したと思ったら、第26話でさらなる"裏切り"が発覚した紗羽を演じた滝は、「自分が仲間を裏切るキャラクターだとは知らされていなかった」と、自身の役柄の心境についても台本をもらうまで知らされず、演じるのが大変だったことを明かしていた。北都三羽ガラスが登場してきたとき「SNSでは、赤羽、青羽、黄羽と紗羽は"羽"つながりで、生き別れの兄妹か何かじゃないかって推測がありましたけれど、まったくの他人でしたね(笑)」と、名前から何か関係性があるのではないかと期待していたことを打ち明けた。ちなみに当日は滝の誕生日であり、最後のあいさつでは「おめでとう!」というファンからの声に感激しながら、まぶしい笑顔を見せていた。
桐生戦兎の"分身"というべき葛城巧を演じた木山は、防護服を着た回想シーンや、戦兎の精神世界で語りかけるシーンが多く、1人で撮影する機会がほとんどだったことについて「寂しかったけれど、巧のテーマである"孤独"が表現できた」としみじみ語った。葛城の天才物理学者としての頭脳を受け継ぎながら、戦兎はまた異なる人格を持ち、両者が心の中で対話をするシーンが後半には多く見られた。木山は「2人の意見は食い違っていたんですけれど、最後にはだんだん意見が合ってくる。そういうセリフをしゃべっているとうれしかった。巧は感情を出さないタイプの人間なんですけれど、心の中ではうれしかったんだと思います」と、難しい役柄である巧を演じきった満足感を表現していた。
紗羽と同じく難波重工の難波会長に忠誠を誓う"難波チルドレン"であり、マッドローグに変身する際には異様なテンションの高さを見せた内海を演じた越智は、「最初は幻徳の秘書として"従う"キャラだったのが、一度退場して再登場したときは幻徳を土下座させたりして、演じるのが楽しかった」と、役柄が前向きに変化してきたことに手ごたえを感じたもよう。マッドローグに変身したことについても、「仮面ライダーになることができてうれしかった」と語った越智は、最後の時を迎えるシーンでは「台本では内海の退場シーンにはローグがいたんですけれど、ここは変身を解除して幻徳とのカラミがやりたい、と変更になりました。これもうれしいことでした」とさわやかな笑顔と共に語った。
とてつもないヘアスタイルがインパクト高い赤羽を演じた栄信は、「この髪は地毛でセットしているんです。1時間くらいかかって大変ですし、セットが崩れてしまうので休憩時間でも寝られない!」と、ヘアスタイル維持の苦労を語った。
最初は「ルパン三世の次元大介のイメージで」と言われていたことを明かした青羽役の芹澤は、「衣装を合わせていくときに、どんどんダサくなっていって、次元大介のイメージからは離れていった」とこぼしていた。青羽は北都・東都の対抗戦でビルドに敗れ、消滅してしまうのだが、カシラ(一海)との絆の強さゆえ、その後も赤羽、黄羽とともにいくつかの出番があった。これについて芹澤は、「クランクアップが何回もあって、その都度戻ってくるのがやりにくかったですね(笑)。最後は擬態のスマッシュになってカシラと戦うんですが、アフレコで声を入れていると、カシラを酷い言葉で挑発するなどけっこう辛いことをやっているなあと思った」と、一海との再会が過酷なものであったことを回想していた。
芹澤の「次元大介」と同じく、当初は「沖田総司のイメージで」と監督から言われたという黄羽役の吉村は、「第17話の台本を貰ってからはすごくバカな役になっていき、沖田総司はどこかに行ってしまいました」と役のイメージがわりと早い段階で変更されたことを打ち明けた。黄羽を演じたことについては「最初、仮面ライダーに出演すると決まったとき、僕の役柄はショッカーのようなものかなと思っていましたが、悪役にもしっかりしたお話があって、ドラマとしてとても面白かった」と、『ビルド』全体の印象も含めて、充実した時間を過ごしたと明るい笑顔を見せた。
完全な体を手に入れるために戦兎たち仮面ライダーを利用していた、最大最強の敵・エボルトの声を威厳に満ちた声で演じきった金尾は、「悪のハードルが高ければ高いほど、ヒーローが引き立ちます。常に余裕のある悪に努めようと演技プランを固めていました」と、ブラッドスタークからエボルトへと、1年間にわたってビルドやクローズを苦しめた声の演技について語った。
エボルトの擬態としての登場シーンが多かった石動惣一を演じた前川は、なんと金尾と直接顔を合わせたのはこのステージが初めてという。「チャオ~」という決めのあいさつに見られるように、邪悪でありながら軽妙なパフォーマンスが多く見られるのが石動=エボルトの特徴だが、これについて前川は「悪をどう表現したらいいのか考えて、少し軽いキャラでチャーミングに演じました。放送中はファンの方々からの反応がとても好意的でね。ファンに育てていただいたキャラだと思います」と、自身の演じた役柄を支えてくれたファンへの感謝の思いをあらわにしていた。
続いて、キャスト全員が選ぶ思い出の名シーンのコーナーに突入。木山は第38話で鷲尾風が万丈をかばって仮面ライダーエボルの攻撃を受け、消滅するシーンを選んだ。このシーンは戦兎に葛城巧の姿がダブるカットに続くため「いつも1人での撮影が多かったけれど、ここでは共演者のみなさんに直接会うことができた」と選んだ理由を語った。
水上は「戦兎、幻徳、万丈、一海の4人がそろって変身するシーン」を挙げ、ここでは「ジャンケンに負けた者がヘンなベルトも持ち方をしよう」と決めていて、武田が負けていつもと違うベルトの持ち方をしたと明かした。ちなみにこのシーンを見た柴崎貴行監督からは、「その持ち方、仮面ライダーキバのキバットバット(2世)だよね」と鋭い指摘が入ったことも加えていた。
芹澤は「消滅した青羽に戦兎が花を備えるシーン」を挙げ、劇中の芝居を再現してみせた。吉村は第17話の初登場シーンを挙げ、三羽ガラスとカシラの4人のチームワークのよさを改めて回想。栄信はグリスブリザードと三羽ガラス(擬態)の戦闘シーンを挙げて、「武田くんも交えて4人でアフレコをしていたとき、上堀内監督が三羽ガラスの出番だけでなく、一海が消滅するところまでしっかりと映像で見せてくれました。その上で武田くんに監督が『もう思い残すところはないですか?』と尋ねていて……。この一連は名シーンだと思いました」と、監督とキャストが心をひとつにして熱いシーンを作ったことに感激していた。