全49話にわたって放映された『ビルド』。脚本の武藤将吾氏によって生み出されたそのストーリーは1話ごとジェットコースターのような怒涛の急展開が続き、通常のテレビシリーズ3~4作ぶんに相当するかのような密度感があった。トークショーではMCによって序盤の第1~16話、グリスと三羽ガラスが登場し、東都、北都、西都が戦争状態になる第17~28話、そして地球外生命体エボルトの猛威が戦兎たちを襲う最終展開の第29~49話に展開が分けられ、キャストたちそれぞれの思いが語られている。

「戦兎だけでなく、葛城巧や佐藤太郎にも思い入れが強い。戦兎は一生忘れられない役」としみじみ語る犬飼は、最終回を撮り終わった直後の感想として「戦兎がずっと経験してきたものが重すぎて、終わった後は肩の荷がおりた。安堵感があったが、これからまだVシネマや冬の映画もあるので、戦兎を忘れてはいけないとも思った」と、地球の運命を背負って強敵に挑み続けた戦兎のハードな人生を背負っていた苦労を明かしつつ、最高の役柄に出会った喜びを語った。

「初期は生身の状態で戦っていたので、クローズに変身することができたときはうれしかった」と話す赤楚もまた、最終回を振り返って「戦兎のセリフにもあったように、みんなが"生きててくれればそれでいい"という思い。新世界でみんなが幸せに暮らせて安心した最終回でした」と感想を述べた。

第17話より、北都三羽ガラスを引き連れて登場した武田は、現場で台本にないセリフや演技をどんどんぶちこむアドリブ演技の面白さを高田から指摘され、「台本どおりやってるよ! 今日は武藤さんも来ているんだから(笑)」とあわてながら、「台本にない文字が見えてくるんだよ」と、やはりアドリブ全開で撮影に臨んでいたことを明かした。一海を演じきった感想については、「一海は仲間にバトンを託して消滅していきましたが、軽いバトンではなかった」と、一海の大きな存在感について触れながら、「最後はフォームチェンジもできましたし、一海という役をやりきることができてよかった」と、最後の決戦時にグリスブリザードへと変身できた喜びも含め、充実した演技ができた作品だったと満足そうな顔をのぞかせた。

『ビルド』最終回から少々髪が伸びた姿での登場となった水上は、ファイナルステージでも革ジャンの下に「39」と書かれたTシャツを着ており、戦兎に対する感謝(Thank you)を表すTシャツ芸を披露。「僕は大森(敬仁)プロデューサーと武藤さんのおもちゃ」と笑いながら、クールな東都首相補佐官から西都の仮面ライダーローグへ、そして戦兎たちの仲間になって以降は独特なセンスの私服で笑いを誘うキャラクターへと変化していった幻徳を演じた感想を語っていた。

本作のヒロインとして、戦兎たちの戦いを見守ってきた高田は『ビルド』という作品を振り返り、「私を女優にしてくれた作品。美空とネットアイドル"みーたん"、そして火星のベルナージュという3つのキャラクターを演じたことで、成長できたかなと思います」と語った。戦兎の悲壮な戦いを止めるため、美空が大粒の涙をこぼすシーンが印象に残るが、これについて高田は「上堀内(佳寿也)監督の演出回が美空のターニングポイント。涙もうまく流せるようになりました」と、上堀内監督の『劇場版 仮面ライダービルド Be The One』でも強いインパクトを残した「美空の涙」についての思いを語った。また、幻徳が消滅していくくだりでも美空が泣く場面があったのだが、そのときだけはなぜか「涙が出るまで30分くらいかかった」と裏話を明かし、水上を憤慨させていた。この「高田がなかなか泣けなかったシーン」でモニター付近にいた赤楚は、犬飼と一緒に「泣けないな~、幻徳じゃ泣けないんだなあ」と高田の姿を見ながら「勝手にアフレコ」をして待ち時間を楽しんでいたという。