iPhone XSの大画面モデルとして登場したiPhone XS Maxは、それまでのiPhoneを圧倒するビデオ体験を提供している。それには、ストリーミングなどでコンテンツを視聴することだけでなく、自分でビデオを撮影し、楽しむのも含まれる。
iPhone XS Maxの画面サイズ拡大によるメリットは、映像に限ったことではなかった。スピーカーのステレオ再生の強化である。これは物理的な問題ではあるが、左右のスピーカーが大画面化によってより離れた位置になったのと、それぞれがより大きな音を発するようになったことで、豊かな音場をスマートフォンで作り出せるようになった。
またこれは、映像体験がリッチになるというだけでなく、Appleが目指す次世代のスマートフォン活用への「準備」としても、重要な意味を持つ。今回はディスプレイの技術や仕様について、それらを生かしたコンテンツの楽しみ方について考えていこう。
iPhone Xでは、初めて有機ELディスプレイが採用された。縁まで敷き詰めたオールスクリーンで、100万分の1というコントラストを実現。液晶と異なり「黒=消灯」であることから、以前のiPhoneとは比較にならない黒の引き締まり方を特徴としている。
そのSuper Retinaディスプレイ、パネルはSamsungからの供給だが、カラーマネジメントなどのコントロールは全てAppleのテクノロジーによって賄われている。その甲斐あってか、焼き付き防止や色再現などでトップクラスのディスプレイとの評価を得た。
Super Retina HDディスプレイを備える2世代目のiPhone XSは、5.8インチモデルで2,436×1,125ピクセル、6.5インチで2,688×1,242ピクセル。いずれも1インチあたりのピクセル数は458ppiとなっている。
縦横比はそれぞれ2.165:1と2.164:1で、5.8インチモデルの方が若干縦が長い比率となっていることが分かる。いずれも19.5:9と言い換えられ、テレビやコンテンツで標準的な16:9の比率よりも長辺が長い。
基本的な仕様はiPhone Xと同じで、画面を押し込んで操作できる3D Touchに対応したマルチタッチディスプレイ、高色域P3対応、環境光に応じてホワイトバランスを調整するTrueTone、夜の時間帯にフルーライトを抑制するNightShiftに対応している。これまでもHDR(ハイダイナミックレンジ)表示には対応していたが、iPhone XSシリーズではHDR10やDolby Visionに対応し、HDRコンテンツの再生をサポートした。
ディスプレイの品質評価やコンサルティングを手がけるDisplayMateは、iPhone XS Maxのディスプレイに最高評価を与えている。ディスプレイは、コンテンツの再生は対応するものの、4Kに対応していないが、この点については、458ppiという解像度の高さは既に人間の目ではドットを識別できないレベルに達していることから、これ以上の高解像度化は意味がないと指摘している。