それでは、今回用いた製品と環境について説明しよう。メモリは古参のOCメモリメーカーであるPatriot Memoryの「Viper RGB DDR4 Performance Memory」を用意した。
Viperは同社のゲーミングブランドで、Viper RGBはヒートシンク上部にRGB LEDを備えた最新OCメモリモジュールだ。RGB LEDはASUSTeKの「Aura Sync」やASRockの「Polychrome RGB Sync」、GIGABYTEの「RGB FUSION」、MSIの「Mystic Light Sync」といったマザーボードメーカー各社のRGB制御機能に対応している。
RGBとあるようにLEDを搭載し発光を楽しめる。発光の制御は同社ユーティリティ「Viper RGB Software」だけでなく、マザーボードメーカー各社のユーティリティにも対応している
ちなみに、発光パターンでは、ASUSTeKのAura Syncがもっとも多くサポートされているということで、今回はASUSTeKのIntel Z370マザーボード「MAXIMUS X HERO」を用意した。LED発光機能というだけでなく、本製品はゲーマーかつOC機能も充実した製品である。
メモリOCに関する項目についてはほかの製品と大きな差はないが、OCをするならばOCを視野に入れたマザーボードを選びたい。電源回路などの設計が、OC向けにチューニングされているからだ。
CPUはIntel Core i7-8086Kを組み合わせている。「Z」付きチップセットのマザーボード+「K」付きCPUというお約束だ。補足をしておくと、メモリOCに用いるCPUは、「K」付きが必須ということに加え、Core i5よりもCore i7のほうがよい。
現在はCPU内にメモリコントローラが統合されており、本来ならばCore i7/5で変わるはずはないのだが、実際にはCore i7のほうがクロック耐性がよいようだ。今回の検証で、事前にCore i5-8600Kでも試したが、Core i7-8086Kのほうがより高クロックまで動作したのでこちらを紹介することとした。
検証環境 | |
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CPU | Intel Core i7-8086K |
マザーボード | ASUS ROG MAXIMUS X HERO(Intel Z370) |
メモリ | Patriot Viper RGB DDR4 Performance Memory DDR4-3200 8GB×2 Black |
マザーボード | Patriot Viper RGB DDR4 Performance Memory DDR4-3200 8GB×2 Black |
ストレージ | Intel Optane SSD 800P 118GB |
電源 | 撮影時はSilverStone SST-ST55F-PT(550W、80PLUS Platinum)を、検証時はCorsair HX1000i(1000W、80PLUS Platinum)を使用 |
メモリ、マザーボード、CPUのほかにもう1つ重要なパーツを挙げるならば電源だろう。電源で注意したいのは出力に余裕があることと、できるだけ品質のよいものを選ぶことだ。出力に関しては、高負荷時の消費電力の2倍が目安になる。
品質については、普段の動作に問題がなくとも、OCのようにパーツの限界に近いところで動作させる場合は、電圧の変動にもシビアに反応することがあるためだ。特にメモリは電源の+5Vラインを利用するので、OCするならばここの出力や品質に注目するのがよいだろう。
今回はグラフィックスカードを用いていない。高クロックなメモリがもっとも効果的なシーンとしては、CPUに統合されたGPU機能を利用する場合が挙げられる。統合GPUはメインメモリをグラフィックスメモリとして共有する仕組みであるため、メモリ帯域はメモリクロックに依存する。
グラフィックスカードに搭載されるディスクリートGPUと比べれば、まだ非力な統合GPUだが、昨今はかなりGPUコア部分を増強しており、現在はメモリ帯域がボトルネックになりつつある。高クロックのメモリを利用することで統合GPU性能を引き出し、OCメモリを利用することでさらに引き上げることが可能だ。