――『ルパパト』のみなさんはすごくチームワークがよいと聞いていますから、元木さんも早々とその環の中に入っていけたという感じですか。
本当に、アフレコ見学の機会がなかったらいまだにもう一歩踏み込んで仲良くなれなかったと思いますし、あの日はすごくいい一日だったと感じています。
――みなさんがやっていたようなアフレコをご自分もやることになったわけですが、ルパンエックス、パトレンエックスに声をアテてみて、いかがでしたか。
いやあ、難しかったですね。今までやってきた仕事の中でもトップ3に入るくらい難しい出来事(笑)。本当に、どうしよう……!って思いました。教育番組でもアニメーションのキャラクターに声をアテる作業をしたことがありましたけれど、そのときは僕の声を先に収録して、後から画を合わせるというスタイルだったので、すごく自由にやらせてもらえたんです。もう自由奔放にしゃべって、仕上がりの映像を観て「いい感じだな」って思っていたんですけれど、今回は実写のキャラクターが芝居をしているところに自分の声をアテるわけなので、かなり勝手が違いました。しかも演じているキャラクターは自分そのものですし。仮面のキャラですから表情が見えないというのも、難しい原因でした。もうエピソードを何本も重ねていますけれど、今なおアフレコでは苦戦し続けています。
――アフレコの、どういった部分が難しいと思われますか。
キャラクターが銃を撃ったあとのちょっとした息づかいであるとか、微妙なニュアンスがまだつかめていない気がするんです。しかもノエルはすべてにおいて「余裕」を見せる人物なので、「フッ」っていう息づかいひとつでも、あまり力を入れると印象が違ってくるなと思うんですね。じゃあ、力を入れずに「フッ」っていうのはどうやるの?って(笑)。とても難しいですけれど、そこを試行錯誤しながら自分なりの形を作り上げていこうとしているところです。
――そういうとき、ルパパトの6人から何か得られるものがあったりするのではないですか。
やはり僕よりも半年先にやっているぶん、みんなすごく上手だなって素直に思いました。
――ルパンエックス、パトレンエックスのスーツアクションをされているJAEの伊藤茂騎さんとは、キャラクターのイメージを合わせるために何かお話などされましたか?
最初のとき茂樹さんがご挨拶しに来てくださって、そこでノエルのキャラクターについていろいろとお話することができました。その後、アフレコのときに画面を観たら、僕(ノエル)が独自に「ボンジュール!」ってセリフに合わせてやってみた動きを、もう茂樹さんがつかまれていて、同じ動きをやってくださっていて……。ルパンエックス、パトレンエックスの手の動きであるとか、いつの間にか変身前と変身後の仕草をシンクロさせてくれていたんですね。そういうのを見ると、事前にお互い話し合っていてよかったなあと思いました。僕と茂樹さんと、2人でひとつの役を作り上げていくという感覚で、こういうのは変身ヒーローものならではというか、こういうジャンル特有の世界にいることを実感しますね。
――元木さんご自身もアクロバットを得意とされているとうかがいましたが、ノエルとして素面でのアクションシーンも今後多くなっていくのではないですか。
そうですね。現状ではまだアクションの見せどころはそれほどありませんが、僕としてはぜひともやりたいと思っています。僕が『ルパパト』に出演することが発表されたとき、「アクションやるんですか」と期待してくださっている方のコメントをたくさんいただきましたし、そういう声にも応えていきたいですね(笑)。