第25回の写真甲子園に参加した18校のなかで、筆者が気になった作品を僭越ながらご紹介したいと思います。
『今、この時を』(沖縄県立真和志高校)
敢闘賞を獲得した沖縄県立真和志高校のファイナルステージの作品。1枚目のコントラストの強さでインパクトを残し、7枚目の子どもたちの表情で面白い瞬間を見事に押さえた。8枚目で北海道の雄大な景色を台所の窓越しに写し撮り、審査員にも称賛された1枚。
『光の創形』(神奈川県立横浜清陵高校)
準優勝した神奈川県立横浜清陵高校のセカンドステージの作品。最初の4枚で昼、後半の4枚で夜の風景を撮影した構成。特に、後半の5枚目はスマートフォンの明かりで照らされた顔、照明で落ちる影、明るさの残る空を明暗を捉えた1枚が見事。8枚目は、ヒッチコック監督の映画「裏窓」を彷彿とさせる雰囲気が高評価だったが、人の動きがもう少し見えれば……とのアドバイスも。
『帰宅中継』(埼玉県立芸術総合高校)
優秀賞を獲得した埼玉県立芸術総合高校のファイナルステージの作品。「帰宅部」のエースが帰宅するまでを中継するというストーリーを組み立てた埼玉県立芸術総合高校。ユニークな視点と躍動感あふれる写真の構成がうまくはまっている。
表彰式の最後にコメントした審査員の鶴巻氏は「たくさん撮っているのが分かる」「共感できる」「独自の視点」という3つの評価項目を挙げ、「共感と自分の感性を信じて突き通してくれれば」と選手たちへの期待感を述べていました。審査委員長の立木氏は「魅力という字には『鬼』という字が入っている。だから、写真好きは鬼に捕まっている」と話して、写真から離れられない心情を表現。「時代を感じつつ、時代の空気を切り取るのが写真。一発屋では困るので、写真を継続していってほしい」とエールを送りました。