――『仮面ライダーアギト』(2001年)を皮切りに、高岩さんは歴代"主役"ライダーのスーツアクションを多く務めていらっしゃって、今回も仮面ライダービルドを担当されていますが、映画の撮影のとき高岩さんのアクションを間近でご覧になったりしましたか。

アクションの撮影をちゃんと観ることはできなかったんですけれど、ところどころのアクションシーンを見学させてもらって、高岩さんにもお会いして、やっぱりカッコいいなあと思いましたね。

――松井さんが思う、高岩さんの「ライダー」アクションの魅力とは何でしょう。

高岩さんが演じられた各シリーズの(主役)ライダーそれぞれにちゃんと決めポーズがあって、そのポーズも、体の体重の乗せ方や角度とか、手を動かすスピード、空気感が違っていて、同じ人が演じているのにまったく別のライダーに見えるんです。ご自身が演じられた何人もの仮面ライダーの動きを熟知していて、それぞれの細かな動きを演じ分けることができるというのは、本当にすばらしいですね。ビルドとして、走っているだけ、たたずんでいるだけでも「ヒーロー」という空気をかもしだしていて、みんなが憧れるものをちゃんと持っていらっしゃるんだなあと、改めて思いました。

――そんな松井さんが演じられる才賀涼香も、シザーズロストスマッシュに変身するとうかがいました。変身ポーズのようなものもあるのでしょうか?

変身ポーズはないんですけれど、スマッシュへの変身にはボトルを使いますので、ロストボトルを振る動きはやりました。最初、まさか私がボトルを振るなんて思わなかったので、ビックリしました。勝村(政信)さんが演じる伊能賢剛には「変身」ってセリフがあったんですけれど、藤井(隆)さんが演じる郷原光臣と私(涼香)は「2人も変身する」ってト書きがあるだけだったので、特別なエフェクトもなくすんなり変身するのかなって思っていたんです。でも、現場に行ったらボトルを渡してもらって「じゃあ変身シーン撮ります」みたいな流れになって。そのとき「わあっ、私もボトルで変身できるんだ」ってすごくうれしくなりました。心の準備が出来てなくて、すごくテンパっちゃったんですけれど(笑)。ボトルで変身する方法も、それぞれのキャラクターに合わせて振り方が違うんです。涼香の場合「セクシーで大人っぽい感じで」と言われたので……なかなか大変でした(笑)

――初めて変身した直後、どんな気持ちになりましたか。

ボトルの振り方でこんなにいろいろなバリエーションがあるんだな、って改めて思いました。涼香と郷原の振り方がぜんぜん違うので、藤井さんの演技を見たとき「あっ、そんな振り方もあるんだ」と衝撃を受けました。レギュラーの方たちから聞いた話では、ボトル上部のキャップの回し方にもコツがあって、上手い回し方があるんだってこと。「こうすると、ちょっとよく見えるよ」なんて、キレイに回しているような見せ方も教わりました。ちょっとした撮影現場見学の気分でしたね(笑)。

――松井さんがこれまで出演されてきた一般のテレビドラマや映画と比べて、今回の『ビルド』ではどんな違いを感じましたか。

まったく別の個体に変身するとか、手からビームが出るとか、現実にはありえないシーンがありますので、撮影後にその部分をCGで映像処理するのが、いわゆる普通のドラマや映画と違う部分だと思います。私たちが演じているブラッド族は人間ではないので、いろいろ不思議な能力を備えているんです。藤井さん演じる郷原がワインの液体を球状にして空中に漂わせ、それを地球に見立ててバーン!って壊してしまうシーンがありまして、監督さんが私たちに状況を説明してくれるのですが、実際には存在しないモノが目の前にあると思って演技をするのは、やっぱり難しかったですね。球が壊れて、ワインがあちこちに飛び散るところは実写で撮っているのですけれど、そこはスタッフさんたちのチームワークで、テキパキと作業を進めていくんです。それがうまく行ったら、みんなで拍手です(笑)。やはり「仮面ライダー」という長い歴史のあるシリーズなので、ちゃんと撮り方が決まっていたり、ひとつのシーンを作り上げるためにみんなが率先して動いたり、「チーム」で作品を作っている感覚がとてもあって、現場はとても楽しかったです。