それでは、3つの防災セットにどのようなアイテムを入れるべきか考えていこう。災害が起こったとき、まず考えなければならないのは直接的な災害や二次災害から身を守り、「生き残る」こと。そして生き残ることができたら、次は日常生活を取り戻すまで「生き延びる」こと。この2つを考えて中身を選びたい。
例えば平山さんが用意しているものは、次のようなセットになる。
防災ポーチ
1.自分を守る「もしもポーチ」に入れるもの
ペットボトル水500ml、モバイルバッテリー、生理用品、マスク、心の支え(チョコや個包装のクッキーなど、自分が少しでも元気になれるもの)
2.いつもバッグに入れているもの(参考)
財布、絆創膏、スマートフォン、タオルハンカチ、ティッシュ、化粧品、交通系ICカード(ホイッスル&ライトつき)、目薬、歯ブラシセット、手帳と筆記用具、汗取りシート(夏のみ)
上記の1と2は仕事先で被災し、翌日に歩いて自宅に帰ると想定した備えだ。もし遠方へ登山に行く場合はもっと多くの用意をせねばならないだろう。防災ポーチの中身は、その個人の日常生活に必要なものと医薬品、そして緊急対応時に不可欠なものだ。
この中で特に注目してほしいのは「心の支え」。平山さんにとってはお菓子だが、被災して動揺しているときに「心を落ち着けられるもの」や「少しでもがんばる気力をだせるもの」を入れておくと、いざというときの励みになってくれるという。小さな子どもがいる場合は、普段からよく遊んでいるおもちゃなどを入れておくのもいいだろう。
非常用持ち出し袋(防災リュック)
生活を続けるために必要なもの
メガネ、コンタクトレンズ、補聴器、お薬手帳、医薬品(例: 治療薬、抗ヒスタミン薬、アナフィラキシー補助治療剤、ステロイド外用薬、ストーマ袋など)
避難するために必要なもの
懐中電灯(ヘッドライト)、防災ずきん、軍手、ヘルメット、携帯ラジオ、雨具(防水透湿)、ホイッスル
当面の避難生活に必要なもの
水、携帯食品、着替え、タオル(特にてぬぐい)、衛生用品、エマージェンシーブラケット
貴重品
現金、貯金通帳、印鑑、家族写真、連絡先リスト
自分や家族に合わせて用意する必要があるもの
アレルギー用食品、生理用品、哺乳瓶、おむつ、入れ歯、ペット用品
非常用持ち出し袋は、一時避難場所での一時生活を想定して用意しなくてはならない。ある程度は市販の防災セットのような商品でまとめて揃えることができるが、自分や家族に合わせて用意する必要がある。
また、避難に時間を要する高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児、その家族や支援者は、特に事前にしっかりと準備をしておきたい。自宅で被災した場合は、この非常用持ち出し袋と防災ポーチを持って安全な場所へ避難しよう。
備蓄品
日常使いとして常にキープしておくもの
・食品類(水、無洗米、乾麺、缶詰、レトルト食品、飲料、野菜ジュース、チーズやかまぼこ、お菓子類、栄養補助食品、調味料、常備薬)
・生活用品(ビニール袋、救急箱、ラップフィルム、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、使い捨てコンタクトレンズ、使い捨てカイロ、点火棒)
・女性用品(生理用品)
・乳幼児用品(粉ミルク、離乳食、おしりふき、おむつ)
・高齢者用品(高齢者用食品、常備薬、補聴器用電池、入れ歯洗浄剤)
災害に備えて準備し、定期的に使用確認などを行うもの
・カセットコンロ
・カセットガスボンベ、
・携帯電話等の予備バッテリー
・簡易トイレ(複数回使用分)
・懐中電灯
・乾電池
・充電式などのラジオ
・使い捨て手袋
備蓄品は、日常生活の中で消費・使用しながら備えておく。特に食料や飲料水は消費期限が迫ってきたものを使い切り、消費した分だけまた新たに補充するという「ローリングストック法」を心がけると無駄がなくお勧めだ。