自然災害大国、日本。2018年も6月に大阪北部地震で震度6を超える地震が発生、7月には過去最大規模の豪雨が西日本を襲い、緊急時の備えがより一層必要となっている。しかし、「天災は忘れた頃にやってくる」という言葉にあるとおり、日ごろからの災害対策の重要性は認識していても、実際は対策しきれていないという人も少なくないだろう。
そこで今回は、社会のさまざまな場で減災と社会の防災力向上のための活動を行っている「防災士」の資格を持つ平山優子さんに、災害時に役立つ防災セットの中身を充実させるコツをお聞きした。減災の基本は「事前の備え」。急な災害に見舞われたときの手助けとなるアイテムの揃え方などを紹介していこう。
外出時、避難時、自宅避難時の3つの状況に備える
防災や減災にあたり、「災害は自分にも起きる可能性がある身近なもの」と認識しておくことが何よりも重要だと平山さんは話す。有事の際に焦ることなく迅速に対応できるよう、事前に知っておくべきポイントをチェックしておこう。
(1)ハザードマップを確認しておく
災害は、地震・風水害・土砂災害・火災などさまざまあり、その被害は地域の環境によっても異なる。発災時、人は「外出している」か「自宅にいる」かのどちらかだ。職場や居住エリアで具体的にどのような被害が想定されているのか、市区町村が公表している各種ハザードマップや地区別防災カルテなどで確認できる。あらかじめ自宅と職場周辺の危険度レベルをチェックして意識を高めておこう。
(2)日ごろから急場しのぎ用の備えを携帯する
仕事をしている人は外出時に被災し、帰宅困難者になる可能性もあるため、家にたどり着くまでをしのぐ急場の備え(防災ポーチ)が必要となる。これらは普段から持ち歩くか一時的に職場に置いておくことになるため、常に携帯できるものに限定して重量を軽くしておこう。
(3)避難生活を見越し、非常用持ち出し袋を用意
災害によって自宅で生活できない場合や、自宅周辺に災害が及ぶ可能性がある場合は、一時集合場所に避難する公算が大きい。そのときに持って逃げるものが非常用持ち出し袋(防災リュック)だ。そのためには、日頃から非常用持ち出し袋の準備が必要不可決であり、避難所で数日間生活することを前提とした備えを考えよう。
(4)自宅で生活をするための備えをストックする
被災したものの、自宅で生活できるのであれば、自宅が一番安全で安心な避難所である。そのため、まず自宅で命を落とさない備え(住宅の耐震、家具・家電の固定、ガラスの飛散など)をしたうえで、ライフラインが途絶えても自宅で生活をするための備え(生活の備蓄品)が必要である。
つまり、防災セットとは大きく分けて以下の3点となる。
■外出時の備えとしていつも携帯する「防災ポーチ」
■避難時の備えとして持ち出す「非常用持ち出し袋(防災リュック)」
■自宅の安全対策をしたうえでの、ストックしておく「備蓄品」