尾瀬探索のあと、本来の目的である丸沼ダムを目指す。ブナ林の復路で駐車場に向かった際「オヤッ!?」と思ったのは、国際色が豊かだったこと。ハイキングではすれ違うハイカーに挨拶するのが基本だが、私の「おはようございます」の言葉に、「ニーハオ!」「グッドモーニング」という言葉が返ってきた。尾瀬人気は低下しているが、インバウンドの知名度は高いのかもしれない。
さて、いよいよ丸沼ダムだ。このダムは昭和3年から建設され昭和6年に完成。コンクリートが少なくて済む「パットレスダム」となっている。当時、マンパワーはあったが、コンクリートが高価だったのでこの方式が採られたという。日本には8カ所しかなく(うち2カ所は廃止・現在6カ所)、貴重な存在なのだそうだ。
その証拠に、「ぐんまの土木遺産」、そして国の重要文化財に指定されている。そのダムの上を歩かせていただいた。普段は関係者しか通れないので、柵は低めだが、景観がすばらしかった。丸沼を東西に分けるように堰堤が延び、ダムの上流と下流でかなりの高低差がある。
美しい景観の丸沼ダム
ただ、丸沼は美しく、エメラルドグリーンの水が印象的だった。多くのダムは川をせき止めるため、大雨が降ると土砂が流入しやすい。ところが、丸沼には小川しか注いでなく、大雨が降っても濁りにくいのだそうだ。上流にも下流にもボートが浮かび、フライフィッシングなどを楽しむ釣り客も多かった。水面をみると、40cmぐらいのニジマス? が悠々と泳いでいるのが確認でき、しかも人の目の前でライズ(水面の虫を補食すること)を繰り返していた。あまりの警戒心のなさに、少し驚いた。
そしていよいよダムの中へ。70段以上の階段を降りると、堰堤の最下部に出る。ここからダムの全景が見わたせる。高さ約32m、長さ約88mの堰堤は圧巻だ。ただ、瀑布のように水を流し発電タービンを回すのではない。沼上流から水を取り込み、それを下流の沼底から排水する仕組みだ。なので、ボート客に与える恐怖は少ない。
こうして、丸沼ダム見学は終了した。BMW i3に分乗し、復路を走った。残念だったのは、あのロッジの水をもう一度飲みたかったこと。ところが、片品村で訪れた建設中の道の駅「尾瀬かたしな」で、尾瀬の水を引いた水くみ場があった。飲むのは自己責任とのことだが、躊躇なく飲んだ。もちろん、おいしかった。