一方で、筆者も含めて、長年スマートフォン、特にiPhoneを使ってきた身からすると複雑な心境でもある。家にある充電器やモバイルバッテリーはすべて、従来のUSB-Aポートを備えたものしかないからだ。
MacBook Proの充電器やUSB-Cハブなど、USB-Cポートに対応する製品もいくつかは持っているが、MacBook Pro向けにしか使っていなかったため、その点数はごくわずかだ。
もしもiPhone本体のポートがUSB-Cに変わってしまうなら、USB-A - Lightningのケーブル類やモバイルバッテリーもすべて使えなくなってしまう。しかしiPhone本体がUSB-Cポートに変更される可能性は、ポートのサイズの問題などから、低いのではないか、と予想している。
新型iPhoneがLightningポートを備えている限り、モバイルバッテリーや外部マイクなどのアクセサリも利用し続けられるだろう。しかし充電速度の問題はおそらく解決されないだろうから、高出力の充電器やバッテリーを用意しておいた方が良さそうだ。
iPhone本体のLightning採用が変わらなくても、充電器やケーブルのUSB-C対応によって、周辺機器のUSB-Cの普及は加速していくと予測できる。現在Appleから購入するしかないUSB-C - Lightningケーブルについても長さやデザインなどのバリエーションが増えることになり、USB-C対応の充電器やバッテリーの選択肢も拡がるだろう。
AndroidスマートフォンやニンテンドーSwitchなど、既に主要な機器での採用が進んでいるUSB-Cだが、Appleの対応によって、さらに普及が加速することになるのではないだろうか。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura