――特に「ウルトラマン」シリーズの良さ、というものがあったら教えてください。
「ウルトラマン」は特撮ヒーローものとして非常に完成されたものだと思いますが、それだけではないと思うんです。社会の縮図だったり、人間の生きる希望だったり、どの作品にも、深い物語が色濃く描かれていました。純粋にアクションや特殊効果に特化した描き方をする他の特撮作品と「ウルトラマン」シリーズは、ちょっと違うんじゃないか、と思っているんです。
――武居監督なりに「ウルトラマンの特撮で、こういう撮り方をしてみたい」というビジュアル面の狙いなどはありますか。
僕は特撮というと『ウルトラマン』の現場しか知らないんです。ミニチュアをどのように仕掛けて、どう撮ったらカッコいいか、などのアイデアは当然のように持っているんですけれど、どちらかといえばウルトラマンを撮りたいと思ってしまいます。ウルトラマン自身の芝居、カッコよさの表現ですね。怪獣に勝利したウルトラマンが見せるちょっとした所作、表情をいかに魅力的に撮るか、そこにこだわりを持って、やっています。
――今回の『R/B』はもともと人間であるカツミがロッソに、イサミがブルに変身しますから、変身前と変身後のキャラクターがイコールになるわけですね。
そうなんです。今回こだわっているのはそこで、ロッソ、ブルに変身した後でも、人格はカツミとイサミのままというところに重点を置いています。スーツアクターさんたちが変身前の2人とちょっとした仕草を合わせたりするのはもちろんのこと、特撮シーンを撮っている際に生まれた小さな動きや芝居の部分を、俳優のアフレコ段階でフィードバックさせる、といった試みもやっています。カツミ、イサミのキャラクターが2人ともはっきりと分かれていますので、ウルトラマンに変身した後でも、声だけではなくて、動き、しぐさなどが全然違います。ウルトラマン同士の対比、コンビネーションも今回の面白さにつながると思います。
――怪獣との戦闘中であっても、ひんぱんに言葉を発して意思表示するのが近年のウルトラマンの特徴ですが、『R/B』ではそれがいっそう顕著に行われるということですね。
『R/B』で僕がやりたいのは、派手なことではなく「ウルトラマンの芝居を撮りたい」ということですね。ウルトラマンに変身したら、後はただ怪獣と戦うだけではない、変身した後でもドラマが継続され、そこには笑いや悲しみもある、そんなところを強調していこうと思っています。
――『R/B』第1話の放送がいよいよ目前に迫ってまいりました。改めて武居監督の『R/B』にかける意気込みを聞かせてください。
最近の「ウルトラマン」シリーズに関わらせていただいた僕が、初めてメイン監督を務めるということで強い意気込みがありますし、スタッフ全員の熱気もすごいです。「ウルトラマンというものはこうである」と、すべてを知り尽くしている人たちばかりで、それだけに『R/B』では、今までにない新しいことをどんどんやってみたいという意欲を持っています。
――最後に、『ウルトラマンR/B』のいちばんのおすすめポイントを教えてください。
武居 とにかく「兄弟ウルトラマン」に注目してほしいですね! この一言に尽きます。どうぞご期待ください!
『ウルトラマンR/B』は、テレビ東京系にて7月7日土曜あさ9時から放送スタート。
(C)円谷プロ (C)ウルトラマンR/B製作委員会・テレビ東京