ライバル「ケイマン」より380mmも短いサイズ感
発表会が行われたのは6月22日。場所はなんと駐日フランス大使公邸だった。これだけでも意気込みが分かる。広い庭園には上陸したばかりの新型とともに、我が国の熱心なファンが所有する旧型「A110」も置かれていた。
ボディサイズは旧型に比べれば大きいが、予想したほどの差はない。具体的な数字を挙げれば全長4,205mm、全幅1,800mm、全高1,250mmで、国産スポーツカーのトヨタ「86」/スバル「BRZ」との比較では35mm短く、25mm幅広く、70mm低いというボリューム感。全幅が同じ輸入スポーツカーのライバル、ポルシェ「ケイマン」より380mmも短い。コンパクトという「A110」の伝統が受け継がれていることが分かるだろう。
軽さもまた伝統を継承している。今回発表された発売記念限定車「プルミエール・エディション」の独自装備23キロを含めても、わずか1,110キロにすぎない。対する「86/BRZ」が最低でも1,210キロ、「ケイマン」が1,360キロである。プラットフォームとボディをアルミ製としたことが「A110」の軽さに貢献している大きな要因だ。
中身は刷新もスタイルは継承
それ以上に印象的なのは、スタイリングが似ていること。実は新旧「A110」、骨格は太い鋼管を車体中央に背骨のように通したバックボーンタイプからアルミ製プラットフォームに変わり、リアタイヤの後方に縦に積まれていたエンジンは、リアタイヤ前方に横置きされるミッドシップ方式となるなど、構造は変わっているのに見た目はそっくりだ。
これについては、発表会のためにフランスから来日したエクステリアデザイン担当のデアン・デンコフ氏が、4つの独立した丸いヘッドランプ、ボンネット中央を走る「スパイン」(脊柱)、 ボディサイドのくぼみ、傾斜し湾曲したリアウインドーなどのディテールを継承したことがポイントだと語っていた。
最高速度250km/hのスポーツカーとしては、リアスポイラーがないことも特徴だ。ボディ下面をフラットに仕上げるとともに、リアバンパー下に「ディフューザー」と呼ばれるパーツを装着し、車体を下に押し付けるダウンフォースを発生させることで、安定感を獲得しながらフレンチスポーツらしいエレガントなフォルムを実現できたという。
2人乗りのインテリアは、ドアトリムの一部をボディカラーとし、センターコンソールにはアルミパネルを起用するなどして、伝統の継承とともに軽量であることもアピールする。イタリアのモータースポーツブランド「サベルト」製スポーツシートは1脚わずか13.1キロとこちらも軽い。