世界ラリー選手権(WRC)で初代王座に輝くなど、フランスを代表するスポーツカーとして多くのファンに親しまれたアルピーヌが復活。かつての名車と名前も同じ「A110」が日本に上陸した。駐日フランス大使公邸での発表会で明らかになった車両概要や販売方法を報告する。
戦後フランス車の歴史に欠かせない存在
アルピーヌ。その名を知っている読者は少ないかもしれない。しかし、このスポーツカーブランドは、第二次世界大戦後のフランス車を語るうえで欠かせない存在でもある。
1955年に創設されたアルピーヌは、フランス北西部の港町ディエップでルノーのディーラーを営んでいたジャン・レデレが、当時のルノーをベースに製作したスポーツカーを起源とする。
アルピーヌは当初から欧州のラリーや公道レースで活躍。1962年に誕生した「A110」の実績は中でも顕著で、1973年に始まったWRCで初代チャンピオンを獲得するなどの活躍を示した。1960年代から参戦していたル・マン24時間レースでも、1978年に総合優勝を獲得している。
フォルクスワーゲンをベースに生まれたポルシェ、あるいはフィアットの高性能版として名を成したアバルトと似たストーリーをアルピーヌは持っており、この3つのブランドは生まれた年も近い。RR(リアエンジン・リアドライブ)を採用しているところや、モータースポーツに積極的だったことなども共通している。
復活に至った経緯は
戦後、優秀な大衆車が続々と登場し、これをベースにした小型軽量のスポーツカーが生まれてレースに挑戦したという流れは欧州各地であった。その中で、フランス代表という扱いを受けていたのがアルピーヌだったというわけだ。
一方でルノーとの関係が深かったアルピーヌは、WRCタイトルを獲得した1973年にはルノーの傘下に入っている。その後もスポーツカーの生産は続けていたものの、1995年にいったん活動を休止した。
そのアルピーヌが復活に向け歩み始めたのは2012年。当初は英国の小型軽量スポーツカー「ケータハム」との共同開発を計画し、合弁会社を設立した。このジョイントは2年後に解消したが、アルピーヌが復活をあきらめることはなく、2016年には試作車「ビジョン」を発表。翌年には市販型がデビューし、今年になって日本でも発売したという流れだ。