トヨタ自動車が新型車「カローラ スポーツ」を発売した。誕生から52年を経たカローラだが、ハッチバックという新たなスタイルで登場する新型車が背負う使命は、ずばりユーザーの若返りだ。自動車業界共通の命題に挑む新型カローラとは、一体どんなクルマなのだろうか。事前説明会でチーフエンジニアに聞いた話も交えつつお伝えしたい。
トヨタが若者に提案する新しい「カローラ」
カローラは1966年に誕生し、今度の新型で12代目となる。これまでの累計販売台数は4,600万台以上。現在は世界の16の工場で生産し、150カ国以上の国と地域で販売しているグローバルな大衆車だ。新型カローラの開発を担当したトヨタの小西良樹チーフエンジニア(CE)は、カローラの販売状況を「10秒に1台、お客様の手元に届く計算」(以下、発言は小西CE)と表現する。
「『アクシオ』というセダンは70歳、ワゴンの『フィールダー』は60歳――」。説明会で会場がどよめいたのは、小西CEがカローラオーナーの平均年齢に言及した時だった。この数字は、長くカローラに乗り続けている人がいる証明だと考えれば立派だが、当然ながら若いユーザーを取り込めなければ販売台数は先細る一方だ。
新型カローラ開発にかける思いを「カローラを若い人たちに」とした小西CEは、カローラ スポーツを「次の50年に向けて最初に打ち出すクルマ。今のお客様も大事だが、次の50年に向けて若い人にも響く商品にしたい」と力を込めた。ターゲットユーザーは20~30代の男女、カップルなどの「新世代ベーシック層」と設定。そういった顧客に届くよう、「2つの軸」によるクルマづくりを行ったそうだ。その軸とは、「コネクティッド」と「クルマ本来の楽しさであるデザイン・走り」だとする。