Apple Watchは既に、スイスのどの時計メーカーよりも大きな売上高を誇る存在となった。AirPodsなどの他の製品を含むAppleのウェアラブル部門は、すでに米国で300位の売上高に肩を並べ、Apple Watchは昨年から60%の成長を果たしている。当然ながら、スマートウォッチ市場で最も多くの販売台数を確保している。
しかしApple WatchはiPhoneでしか利用できない。iPhoneの世界シェアは15%だ。にもかかわらずApple Watchのみが成功していると言うことは、Googleや他のスマートウォッチメーカーが上手くいっていないことを表していると言えるだろう。
Appleにとって、中国でのApple Watchの更なる勢力拡大はチャンスである。中国市場は大きい。国内向けにしか展開していないアリババのスマートスピーカーですら、現在世界のスマートスピーカー市場で3位の地位を確保するほどだ(ちなみにAppleは4位)。
Apple Watchの成功は、中国市場におけるiPhoneの販売台数とロイヤリティ確保に直結する、非常に戦略的に重要な目標となっているが、watchOS 5からは、そうした意気込みを感じられるのだ。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura