別記事にまとめる予定だが、Appleはコミュニケーションの単位に「グループ」を持ち込もうとしている。「写真」アプリで導入される、一緒に時間を過ごした友人同士で写真を補完し合う新しい方法の提供もその一つと言える。
今回のiOS 12における、iMessageとFaceTimeの機能向上は「豊かなコミュニケーション」の実現だ。表現方法や巻き込める人数が豊かになる、という方向性が示される中で、「グループ」という単位でAppleのプラットホームに囲っていく狙いが伺える。そうした中で、グループFaceTimeはどのように使われていくのだろうか。
まず1つは、離れて暮らす家族同士での会話だ。いままでは1つの家と1つの家での対話に限られていたが、今後は家族全員に一斉にコールをしたり、複数の場所にいる家族同士で話せるようになる。例えば、孫が祖父母に連絡をする際、祖母が旅行中でも、かけ直さずその通話で顔を見られるようになるだろう。
また、もう1つ思いつくのは学校などの教育機関での利用だ。Appleは3月のシカゴでのイベントで教育機関向けのApple IDアカウント管理の仕組みを発表している。学校向けApple IDでは、生徒1人に無料で200GBのiCloudストレージが割り当てられるなど、独自のサービスを展開しているが、これらのApple IDでも、iMessage/FaceTime機能を利用できる。
例えばフィールドワークに出ている生徒たちに対して時間を決めてファシリテーションを行う場合、一斉にコールして講話を進められる。喋っている先生の顔が大きく表示される機能が、こうした場面でも役に立つだろう。
あらかじめ教員は授業を受けている生徒全体のグループと、活動する班ごとのグループを作っておき、全体の連絡と、班ごとのフィードバックを使い分けることで、円滑に課外活動をファシリテートできる。この仕組みは、英会話の遠隔指導の仕組みに取り入れ、グループレッスンを行うといった場合にも使えるだろう。
そしてもう1つはオフィス環境だ。実は今回のWWDC 2018のセッションでは、前述の教育機関向けに管理できるApple IDの仕組みを、ビジネス向けにも提供するとアナウンスした。デバイスマネジメントとともに、Apple製品をオフィスで活用する手段を整えたことになる。企業内で管理されるApple IDでもiMessage/FaceTimeを利用できるようになるため、チームごとのグループでのミーティングを職場・モバイル問わず行える環境の整備が簡単になる。