ポルシェは、中期戦略『ストラテジー2025』において、2025年に販売する新車の50%をEVまたはPHVとすると公約している。

もちろんスポーツカーメーカーである以上、速さや動力性能、走行性能の高さは第一の要件であるとはいえ、それを損なうことのない形での電動化が着実に進行している。またクルマだけでなく、生産を行う工場においてもポルシェは、自然エネルギーの導入を進め、社会的責任を持った事業化を推進中であると七五三木社長は付け加えた。

  • ポルシェ ジャパンの七五三木社長

    ポルシェ ジャパンの七五三木社長

世界最大の折り込み広告を展開

ポルシェ ジャパンとしては、70周年記者会見を行った5月から7月にかけて、「スポーツカー・トゥギャザー」の概念に基づき、様々な施策を講じていくと記者会見の中で執行役員の山崎香織マーケティング部長は語った。

まず朝日新聞に、ギネス登録されることになった世界最大の折り込み広告を展開した。その他にも、70周年記念の特別WEBサイトを立ち上げ、投稿写真によるモザイクアート「#ポルシェ70」を始める。また、スマートフォン向けとして、ドライブルートを画面で確認できる「ザ・ローズ・バイ・ポルシェジャパン」を展開する。これは自分がドライブした道のりを後で辿れるだけでなく、他の人が走った道も知ることができるアプリだ。

  • ポルシェの巨大折り込み広告

    ポルシェ ジャパンが朝日新聞に展開した折り込み広告は、約3.55㎡の広告面面積でギネスから世界最大の認定を受けた。会見にはギネス世界記録公式認定員も駆けつけた

6月には正規販売店での催し、また富士スピードウェイでのパレードや展示・試乗会を実施し、神奈川県の箱根ターンパイクにおいては、ル・マン24時間レースを制覇したマシンをEV化した「919EV」による同乗走行などが行われる。7月にはグランピングの体験と試乗会を実施する。これらのイベントについて山崎マーケティング部長は、「ポルシェオーナーはもちろん、ポルシェに興味のある方々にもぜひ参加していただきたい」と熱く語っていた。

  • ポルシェ ジャパンの山崎マーケティング部長

    ポルシェ ジャパンの山崎マーケティング部長

そして、その7月には、記者会見当日の舞台を飾った新型「カイエン」が発売を迎えることになる。

日本に販売台数増加の余地あり

昨年ポルシェは、世界で24万6,000台余りを出荷した。これは、世界で販売される新車の0.3%であるという。日本の状況はというと、2017年の国内新車販売は軽自動車を含め523万台強であったのに対し、ポルシェは過去最大の販売台数を記録したとはいえ6,923台であった。この国内の状況に0.3%の市場占有率をあてはめてみると、1万5,000台規模を目指す必要がある。軽自動車分を除いた339万台の登録車市場においても、1万台が目標と試算できる。

「911」などのスポーツカー系だけでなく、「カイエン」「パナメーラ」「マカン」を含めたSUVあるいは乗用スポーツカーの車種をさらに強化し、台数を積み重ねていく上で、必ずしもスポーツカー志向ではない見込み客へ向け、ソーシャルメディアやイベント活動が強化されていく。それを示したのが、今回の70周年記者会見であったといえそうだ。