スマートスピーカーが市場に広がるなか、統計的なデータも明らかになり始めた。Stragety Analyticsが調べた2018年第1四半期の世界のスマートスピーカー市場調査では、大きな異変があった。

これまで8割以上ものシェアを占めていたのは、2015年から取り組みを進めてきたAmazon Alexaを搭載するスマートスピーカー、Amazon Echoシリーズだった。こちらは3カ月で400万台もの台数を売り上げ、販売台数を前年同期から倍増させている。それにもかかわらず、Amazonのシェアは半減した。

その理由は、急速に追い上げるGoogleの存在だ。Google Homeは、2016年のGoogle I/Oで披露されたスマートスピーカーで、各種調査でもっとも賢いといわれているGoogleアシスタントが利用できる製品だ。

いかにもデジタル機器というAmazon Echoと違い、インテリアに合う柔らかなデザインで登場したことも魅力となり、2018年第1四半期に約240万台を販売し、約25%のシェアを獲得した。販売台数は実に、前年同期の8倍である。

  • Google Home(左)とAmazon Echo(右)

米国でのスマートスピーカー販売競争を見ていると、主力製品は50ドル(約5,500円)程度のAmazon Echo DotやGoogle Home miniといった小型の廉価モデルで、しばしば2個セットで半額近い価格設定がなされるなど、1部屋1台を目指してばらまいている状態といえる。販売台数の急速な増加も、こうした面取り合戦の激化に起因している。

さて、AppleのHomePodは、前述の販売台数のデータでは約60万台を売り上げたとしている。349ドル(約38,000円)と、売れ筋の小型廉価モデルに比べると約7倍、半額セールのたたき売りを考慮すれば約14倍と非常に高額な製品であることに加え、かつ販売期間が1カ月少ないことを考えれば、まずまずの数字だと評価できる。

こうしたデータと前後して、中国初の噂として、Appleが100ドル台のスマートスピーカーを発売する、あるいはこれはBeatsブランドで展開する、といった情報が出回るようになった。確かに、価格を抑えることはスマートスピーカーの現在の競争においては重要な一手と言えるが、果たしてAppleが目指す姿かどうかは疑問に感じる。