• キュウレンジャーVSスペスク座談会

――本作は『キュウレンジャー』の最終回から4年後を描く物語ということですが、岐洲さんは4年後のラッキーを演じるにあたって、どんなところに気をつけられましたか?

岐洲:4年前のラッキーは、ジャークマターとの戦いに明け暮れていたでしょう。僕も、眉間にシワがつくクセができるくらい気合いを入れてシリアスなラッキーを演じてきました。でも、ジャークマターとの戦いが終わり、宇宙に平和を取り戻して4年が過ぎたということで、冒頭でのラッキーは平和そのもの。もう、平和ボケ?っていうくらい、戦いから離れた普通の若者の顔をするよう心がけました。

南:最初のほうでは、そんなラッキーの平和な感じが、チャンプ(オウシブラック)との会話にも表れていたね。

石垣:岐洲くんは本当に好青年になったなあ。これが素のラッキーなんだって思えたし、岐洲くん自身の人の良さが出ていた。でもストーリーが進むにつれて、ラッキーにとってもけっこうキツい状況になってくるんだよな。

岐洲:そうなんです。それでふたたびキュウレンジャーとなって戦うわけなんですけれど……。

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――その一方、ツルギはテレビの最終回で宇宙大統領に再就任し、衣裳も赤のスーツになってダンディな威厳が出ていました。

岐洲:ちょっと、ワルっぽいオーラも出ていましたよね。

石垣:そうそう。同じ東映でも、コワモテの人たちがたくさん出てくる東映やくざ映画という感じで(笑)。

南:いやいや(笑)。やはり以前とは立場が変わりましたから、偉そうになってしまうんですかね。また、大統領補佐官のロイやキミコがツルギのことを「大統領」と呼んでくれるわけですし、それに見合うような重厚な雰囲気を出していきたかったんです。

――そして、ハミィの不可解な行動が引き金となって、ツルギとラッキーが対立。結果的に、キュウレンジャーが2つに分裂してしまうんですね。

石垣:まるで『シビル・ウォー/キャプテンアメリカ』(2016年)で、アベンジャーズが2つに分かれて争うみたいだよね。でも、このままじゃ収拾がつかないってことで、やってきたのがこの私、宇宙刑事ギャバンです。キュウレンジャー、そして追加戦士のホウオウソルジャーの後から出てきた、さらなる追加戦士(笑)。

南:そうなんです。何やってるんだお前ら!と、仲間同士の分裂を止めにきたのがギャバンでした。

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――ダイナミックなアクション演出に定評のある坂本浩一監督の作品だけに、みなさんクライマックスには思いっきり激しいアクションシーンに挑まれていますね。今回の作品では、どんなアクションが印象に残っていますか?

石垣:まず、バーンと乗り込んだギャバンが、シシレッドとホウオウソルジャーを蹴散らしてしまうくだりがあるんです。あそこのシーンは脚本打ち合わせ段階から、僕が見せ方にかなりこだわっていたんです。いきなり出てきたギャバンにぶっとばされて、2人は何が起きたのかわからない。これくらいの勢いで出てこないと、こいつらの争いを止められないだろうってところを見せたかった。変身を解いたラッキーは、以前に出会ったギャバンだなって思っているし、ツルギのほうは初対面で、噂には聞いているけど誰だこいつ?みたいな顔をする。2人の異なる表情も、カメラに収めてほしいと考えました。

南:ツルギもそうとうな"俺様"キャラなんですけれど、ギャバンはもう、出てきただけで只者じゃない感じをすごく出していましたね。

石垣:ぜったい噛み合いそうにないようなキャラ同士が対峙して、ぶつかりあうから面白くなるんだよね。

岐洲:確かに、そう思います!