イベントの最後はアリーナでの「35th Anniversary Ceremony」です。まず伊部菊雄氏が登場、開発ストーリーを披露しました。
「37年前、父から高校の入学祝いにもらった大事な時計を会社で壊してショックを受けた」というG-SHOCK開発のきっかけ、「研究開発センターの前で工事をしていた工事現場の人にも使える丈夫な時計をつくりたい」と、ビル3階のトイレの窓から落として実験した思い出、薄型時代に逆光するサイズ感に悩みながら生み出した「5段階衝撃吸収構造」と、一部だけ部品が壊れる“モグラ叩き”状態……。
難題が続くなか、公園で見かけたボールで遊ぶ女の子……、「ボールの中に時計のエンジンが浮いているのが見えた」(伊部さん)と、点接触の心臓部浮遊構造を閃いたという一連のDW-5000Cの完成秘話。
そして、アメリカで放送された「アイスホッケーのパックにしても壊れない」というG-SHOCKのTV CM。このCM、人気番組で実験され、本当に壊れなかったG-SHOCKが明らかに。
加えて、大型トラックでG-SHOCKを踏みつけても壊れなかったことが、逆にG-SHOCKの強さをきわ立たせました。アメリカの消防署員、ボーダー、スケーターに支持され、第1次ブームの到来。日本では、1990年以降にファッションとともに、G-SHOCKも人気に火が付きました。この35年間、G-SHOCKの歩みが手に取るようにわかる内容です。
伊部さんがモットーとする「Never GIVE UP」がスクリーンに表示されると、大きな拍手が起こりました。開発の大変さと、伊部さんが成し遂げた偉業は短いスピーチでも十分に伝わったのでしょう。周囲の男性や女性たちが「壊れてない! すごい!」「かっこいいな!」と興奮気味に拍手していたのが印象的でした。
全出演者の登場とUSAさんのお祝いコメントを経て、カラフルなG-SHOCKを閉じ込めた氷のオブジェを、伊部さん、USAさん、ねごと、SKY-HIのメンバーで鏡開き。華やかなスモークのなか、始まったSKY-HIのスペシャルライブが終わると、イベントは大歓声に包まれながら幕を閉じました。
唯一無二の存在として輝き続けるG-SHOCK
実際に見てみると気づくことやわかることは多い、とよくいいます。今では世界的に有名なG-SHOCKも、実験やその成り立ち、そして周辺のカルチャーまで体験してみると、やはり新たに気づくことがたくさんありました。
「この会社にしかないものをつくる」というカシオの想いが詰まった唯一無二の存在。だからこそ人は興味を持ち、ファンになるのです。
持つ人の個性でカッコよくもかわいくもなるデザインと、信頼を持てる高い品質と機能は、子どもから本物志向の大人までを納得させる力があるのだと実感させてくれる一日でした。35周年を迎えたG-SHOCKは、これからもオリジナルを創り出す存在として、変わらずに、でも進化していくに違いありません。