また、「強い事業をより強くしていくことが大切であり、成長牽引事業群における価値創出に取り組む」と発言。具体的には、電力システム事業では、発電、送変電から配電まで、電力の安定供給に貢献する高効率・低環境負荷の機器やシステムの提供に注力。交通システムでは、走る、止まる、制御するといったことを1社で実現する製品、システム群の強みを生かした鉄道エネルギー全体の最適化を目指す。ビルシテスムでは、安全性と信頼性の高い製品力とフィールド技術力をベースに、新設、保守、リニューアルまでのトータルサポートを提供。空調冷熱システム事業では、高性能や高効率デバイスと高度な制御技術で各地域固有の省エネニーズに対応するという。
また、FAシステム事業では、FA-IT統合ソリューション「e-F@ctory」の進化による最適なものづくりの提案を推進。自動車機器事業では、電動パワートレインシステムを含めた幅広い高効率機器群および高度制御技術の連携、統合による環境配慮、安心・安全、快適性の実現に取り組むという。さらに、宇宙システム事業では、幅広い分野にまたがる衛星システム製品群により、グローバルな社会インフラ構築に貢献。パワーデバイス事業では、顧客ニーズの先行取り込みにより、最先端のパワー半導体技術に基づく省エネのキーデバイスを供給するとした。
社長就任後、初の会見
今回の会見は、杉山氏が2018年4月に社長に就任してから、初の会見となった。杉山社長は、社長就任の抱負として、「変えてはならないのは、三菱のDNAともいえる三綱領の精神の実践と、『成長性』、『収益性・効率性』、『健全性』の3つの視点によるバランス経営である。そして、変えていくべきものは、時代の変化や技術の変化にあわせて、事業モデルを常に見直す『事業の変革』と、働き方改革のさらなる推進により、業務の質を高め、従業員が成長しながらいきいきと夢を持つことができる『業務の変革』になる」とした。
その一方で、三菱電機の強みについても言及。次のように語った。「三菱電機の強みは、制御やパワーエレクトロニクスなどの広範にわたる強い技術資産を持っていること、事業特性の異なる複数の事業群による事業活動の展開ができること、生産、品質管理、販売、サービスなどのすべての現場に定着した改善文化にある」とし、「既存事業を磨き上げるとともに、異なる事業部の製品をつなぐことで、新たなシナジーを生んでいきたい」とする。
つまり、三菱電機の強みは、家庭電器から人工衛星までという幅広い事業領域と、その事業シナジーおよび技術シナジーにあるというわけだ。
「量産製品のように景気変動に敏感な事業もあり、社会インフラのように景気に変動しない事業もある。これらを組み合わせることで、事業を安定化させることができると考えている」