事業者に使ってもらえるかが最重要課題
自動運転にまつわるさまざまな技術を開発している日野自動車。体感した感じでは技術的な完成度は高そうだったが、これらを実際の道路で見られるようになるには、まだ少し時間が掛かるようだ。日野が示したロードマップによると、例えばトラックの隊列走行で、2台目以降の後続ドライバーが運転から開放されて、車両監視だけを行っている状態(後続有人隊列走行の発展型)が可能となるのは、2023年~2024年頃となる見込み。高速道路での自動運転は2025年以降となる。
こういった技術の実用化にとって課題となるものとは何か。日野は「技術開発」「社会受容性」「インフラ・制度整備」「事業化」の4つを提示する。中でも重要なのが「事業化」だそうだが、考えてみれば、いかに優れた技術であっても、コストが高かったりリスクが大きかったりすれば、バスやトラックを運行する事業者は採用を躊躇するのが当然だ。そこは「事業者との連携」が重要であり、この部分をクリアしないと「実現困難」であると日野自動車の遠藤真取締役・福社長も話していた。
それと当然だが、こういった技術が世の中に出るためには法律やルールの整備も欠かせない。羽村工場のテストコースで行われたデモでは、ステアリングもペダルもノータッチのトラックが難なくレーンチェンジを行ったり、バスが狙ったところにピタリと止まったりしていたが、実際の道路では無人のクルマを走らせることはできない。
また、例えルールが整ったとしても、同じ道路に自動運転のトラックやバスが走ることに恐怖感を抱く一般ドライバーもいるだろう。自動運転の「社会受容性」を高めることは、日野だけではなく自動車業界全体の課題となってきそうだ。