そして、懸念材料もある。最大の懸念は、テスラとの協業だ。

テスラは、米ネバダ州スパークス郊外のギガファクトリーにおいて、2017年1月から円形型リチウムイオン電池の生産を開始している。パナソニックは、この工場に投資をしており、いわば、テスラとは運命共同体だ。

懸念材料は、ギガファクトリーで生産を予定していたテスラのモデル3向けの電池生産量が予定数量に達していないことだ。これは、モデル3の生産が遅れていることが原因であり、パナソニックが担当している電池生産体制については問題がない。むしろ、モデル3の生産立ち上げを待っている段階だといえる。

量産が遅れるテスラ

「当社が生産した電池を数1000本まとめてひとつのパックに入れて、ワイヤーボンドで電極までつけてモジュール化する部分を、テスラは自動化しようと考えていたが、そこにトラブルがあって手動化していた」(パナソニック・津賀社長)のが、量産が遅れている理由のひとつだ。

モデル3は、テスラ初の普及モデルとなる戦略的商品。量産開始時期が遅れたばかりでなく、2018年6月までに週5000台の生産を目指すとしてきたが、現時点ではその半分程度に留まっている。

「ノートPCに使うリチウムイオン電池はせいぜい6本。だが、モデルXを例にしても、1台あたり7000本~1万本の電池を使用する。使用するバッテリーの量が半端ではない」(パナソニックの津賀社長)

桁が異なる生産量が見込まれている車載電池は、パナソニックにとって、まさに成長を担うドライバーであり、2018年度は、大幅な増収増益を見込んでいる。その成長戦略はテスラに左右されることになる。

津賀社長は、「テスラは量産の立ち上げには少してこずっているが、引き続き、多くの受注残を抱えている一方で、私の理解は、確実に生産台数があがってくるということである。若干の期ずれや月ずれはあるものの、あくまでもその範囲の話であり、なにかが消えるというものではない。ギガファクトリーでのモノづくりをしっかりと立ち上げて、テスラが増産を開始したときに、電池が作り負けしない状況を作るだけである」と、今後、生産が軌道に乗ることに自信をみせる。