パナソニックが発表した2017年度連結業績は、売上高は前年比8.7%増の7兆9824億円、営業利益は37.5%増の3805億円、税引前利益は37.6%増の3785億円、当期純利益は58.0%増の2360億円となった。
4年ぶりとなる増収増益を達成。為替影響を除く実質ベースでは、7年ぶりの増収増益になり、今年2月に発表した上方修正値も上回って見せた。
パナソニックの津賀一宏社長は、「2010年度の増収増益は、三洋電機の子会社化などが影響したものであったが、その後、テレビ事業が赤字に転落し、減益が続いた」と前置きながら、「その後の6年間で相当大きな構造改革を行ってきた。これによって、利益の安定性が生まれ、突然大きな赤字が見えてきたということがないように見える化を図り、経営を安定化させてきた。だが、利益を生みながら増収を図る構図になるまでには、想像以上に時間がかかった。その結果が7年ぶりの実質的な増収増益につながっている」とし、「私が一番大きな成果と考えているのは、事業部制というきっちりと業績が見える形の上に、カンパニー制という産業領域の特性を捉えることができる形で、先手、先手で事業内容を変え、シフトできたこと。これが、7年ぶりの増収増益につながっていると感じている。これからも先手、先手を打っていけば、この傾向は継続できると考えている」と、社長就任以来の構造改革の成果に自信をみせた。
2017年度は、2015年度および2014年度と同じ営業利益水準にあるが、実質売上高では大幅に改善。2012年度水準にまで戻しており、体質は大幅に改善されている。同社が打ち出している「増収増益への転換」から「持続的成長」へとシフトが始まったといっていい。
パナソニック 常務執行役員の梅田博和CFOも、「ようやく増収増益へと転じ、持続的な成長に向けて、反転することができた」とする。
オートモーティブが増収に貢献
2017年度実績では、売上高で、オートモーティブやエナジーに加えて、プロセスオートメーションなどが増収に貢献。営業利益および純利益では、インダストリアルなどが堅調に推移したことに加え、 その他損益の改善によって増益になった。
パナソニックの梅田常務執行役員は、「フィコサの新規連結や、インフォテインメントが好調に推移するなど オートモーティブが大きく増収。エナジーやインダストリアル、 ゼテスの新規連結があったモバイルソリューションズや、プロセスオートメーションなどの成長が増収に貢献した。また、固定費は増加しているものの、車載などの成長分野には積極的な投資を実行し、メリハリをつけて対応した」と総括する。
セグメント別では、アプライアンスが中国を中心とした海外でのエアコンが伸長して増収。プレミアム商品が堅調に推移して増益に貢献した。また、エコソリューションズは、海外の電設資材事業などが大きく伸長して増収。コネクティッドソリューションズは、プロセスオートメーションが好調に推移したことなどにより増収。オートモーティブ&インダストリアルシステムズは、車載・産業向け事業で大幅に増収になったという。