運動量はピカイチ

前述のとおり、SLAMを搭載していないRV-EX20は、"ランダム走行"で、部屋を縦横無尽に動き回りくまなく掃除するタイプ。ロボット掃除機としては旧式スタイルかもしれません。しかし実際に動作させてみると、ランダム走行とはいえ、プログラムされたさまざまな走行パターンを組み合わせて、カシコく掃除していることに気づきます。

自動モードで運転していても、イスの脚を見つけるとグルっとひと回りしたり、部屋のスミでは小刻みに体を振ってサイドブラシで念入りにゴミをかき出したりと、驚くほどカシコい動きをします。障害物の回避能力も高く、コードの巻き込みエラーは少なかったです。人工知能やカメラがなくても、センサーと高度な制御プログラムを組み合わせることで、ここまで高い清掃能力を発揮できるものだと感心します。

また、従来モデルと同様に機敏な動きも特徴。ほかのロボット掃除機と比べて、ビデオの"早回し"みたいに素早く動きます。本体サイズが小さいRV-EX20は、他社のロボット掃除機と比べて掃除できる範囲も必然的に狭くなるという弱点がありますが、この欠点を自ら機敏に動くことでしっかりとカバーしており、「頭脳派でなくとも働き者」という感じに好感が持てました。

  • 「通常コース」に設定して自動運転した場合

弱点もある

RV-EX20を実際に使ってみて感じた弱点は、複数の部屋をまたがる清掃。ひとつの部屋を掃除する場合、大きな問題点はないものの、例えば同じ階にある複数の部屋を順番に清掃していくといったことは苦手なようです。

複数の部屋をまたがって清掃を行う場面もありましたが、どちらかというと偶然に隣の部屋へ入り込んだ感じで、RV-EX20は別の部屋であると認識していません。そのためほかの部屋に入り込んだ場合、充電台に戻ってこられるかは運次第。行方不明になったり、充電台を探し回った挙げ句、途中で「力尽きたり」といったケースが多々ありました。

リビングとダイニングキッチンを兼ねた我が家のLDKでは、キッチンエリアだけを1部屋と認識してしまったのか、リビングエリアを掃除してくれないこともありました。扉を閉めておく、敷居を設けるなど、RV-EX20をうまく誘導する工夫が必要です。

ゆえに、複数の部屋をロボット掃除機に任せて掃除させたいというニーズには、あまり適していません。1部屋ずつ動作させれば掃除できるので、その点だけ留意しておけば大きなデメリットに感じないユーザーも多いと思います。

また、SLAM搭載のロボット掃除機と違い、RV-EX20は最大稼働時間である60分間、力の限り働いて充電台に戻ってくるという感じで、家のどこをどの程度まで掃除できたか確認できず、掃除し残した場所を把握できない点が不便に思いました。

ランダム走行であることから運転時間も読みにくく、スマホアプリで履歴を確認したところ、毎回同じスペースを掃除していても運転時間と走行距離が異なっていました。掃除履歴はアプリで確認できるものの、掃除面積ではなく走行距離で表されるためあまり参考にもならず。少々残念なポイントです。

  • ロボット掃除機「minimaru」
  • ロボット掃除機「minimaru」
  • スマホアプリでは毎回の運転時の走行履歴の確認も可能。毎回記録されている開始時間と走行時間、走行距離を表示する。各回をタップすると運転モードやコースも確認できる

小さいは正義

RV-EX20最大の魅力は、コンパクトなサイズで小回りがきき、家具などが多く床下のスペースが狭い部屋でも稼働させやすい点。充電台もコンパクトなのがうれしいところです。

すべての掃除モードで運転音を抑え、時間をかけてゆっくり掃除する「マナーコース」を選択できることもポイント。何気ない機能ですが、夜間や家族がいる時間帯は騒音が気になって稼働させづらいという声も少なくはないため、こうした細かな配慮は国内メーカーならではと感じます。

  • 「マナーコース」に設定して自動運転。通常コースに比べると吸引力を弱めてわずかに消音運転になる

メンテナンス面においても、気配りある従来機種を踏襲した独自機能が搭載されています。そのひとつ目が「ごみプレス」機能。ゴミを溜めておくダストボックス内のゴミを圧縮する機能で、充電台に戻るたびに、ダストボックス内に強い気流を発生させて中のゴミをプレスします。RV-EX20は本体サイズが小さいぶん、ダストボックスの集じん容積も0.25Lと少なめ。そのままではすぐにゴミでいっぱいになってしまいますが、この機能により多くのゴミを溜めておくことができ、ゴミ捨ての回数が減らせますね。

  • 「ゴミプレス」機能。充電台に戻るたびに、ダストボックス内に気流を発生させえて中のゴミを圧縮する

  • ロボット掃除機「minimaru」

    ダストボックスは本体上方に引き出すと取りはずすことができる

  • ロボット掃除機「minimaru」

    ダストボックス内部。内側からメッシュフィルター、クリーンフィルターの二重構造。いずれも取りはずしてダストボックスとともに水洗いができお手入れもカンタンだ

  • ロボット掃除機「minimaru」

    ダストボックスの内側に備え付けられている便利な「お手入れブラシ」も従来モデルから継承した

  • ロボット掃除機「minimaru」

    「お手入れブラシ」は、フィルターや本体すき間部分のメンテナンス用だけでなく、サイドブラシの取りはずし用ツールにもなっている

ふたつ目が「ブラシ自動おそうじ」機能。こちらも本体が充電台に戻るたびに働く機能で、吸い込み口にある回転ブラシが回転と逆回転を繰り返し、付着したゴミを除去するというもの。衣類用のほこり取りブラシのような働きをし、綿ボコリの除去にはとても有効です。長い髪の毛やペットの毛が絡んだ状態は取り除くことができなかったものの、お手入れの頻度は確実に減らせます。

  • ロボット掃除機「minimaru」

    吸引部に回転ブラシとかきとりブラシの2つを備えているのもminimaruの特長

  • ロボット掃除機「minimaru」

    回転ブラシとかきとりブラシ、吸引口カバーも取りはずして水洗い可能だ

バッテリーは自動モードで最長約60分稼働。最大稼働面積は約32畳となっているので、日本家屋の一般的な部屋であれば、バッテリー切れの心配はないでしょう。充電時間も約3時間とロボット掃除機の中では短いほうです。充電可能回数は約1,100回となっていますが、リチウムイオン電池のため繰り返し充電に強く、実際はそれ以上の耐用性があると思います。

サイドブラシは長めでしなりのある素材で、壁ぎわや家具の脚元へのリーチはとても高い印象です。ゴミをかき込むよりも、勢いよく遠くへ弾き飛ばしてしまう傾向があるものの、同じ場所を何回も掃除することで、最終的にはしっかり掃除できていました。

  • 通常コースで運転中は、床材やゴミの量を検知して吸引力を自動で調整。吸引力に応じて本体のパワーランプも標準の緑からオレンジ、赤に変化する

全体的な感想として、RV-EX20はやはり小回りが利き、狭い場所が得意。無線LANへの対応は、昨今のトレンドである「スマート家電」への追随であり、目新しい機能とはいえないものの、インターネットの接続により今後はファームウェアのアップデートが可能となり、購入したあとも進化が期待できます。最近のロボット掃除機としてはローテクな部類ですが、minimaruならではな独自路線で、今後の発展を楽しみにしています。