Appleは前述の通り、スマートフォンに新しい技術を導入し、それが当たり前になるまでに、その次の技術を盛り込む。こうして他社に追いつかれないようにしながら、スマートフォンという存在そのものを進化させていく道筋を立てている。

これは世界的にスマートフォン市場が縮小傾向にある昨今でもうまくいったことを、iPhone Xで証明してみせた。もちろんこの3年前後のサイクルを継続させるのがAppleにとって重要であることは、決算で全体の6〜7割の売上高をiPhoneが占めるのを考えれば、当然と言える。

しかし、それがいつまでも続くとは考えていないことも確かだ。本格的なスマートフォン市場縮小の中で、買い替え需要、乗り換え需要を喚起しても、販売台数や売上高が減少に転じる時はいつかやってくる。

それを補うべく取り組んでいるのがサービス部門とアクセサリ部門ということになる。ではこれらの現状はどうなっているのか、次回以降の記事で詳しく見ていこう。

松村太郎(まつむらたろう)


1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura