iPhoneの平均販売価格は、販売比率で変わる。iPhone 8が699ドルから、iPhone 8 Plusが799ドルから、iPhone Xが999ドルからだが、これにiPhone SEの349ドルから、iPhone 6sの449ドルから、iPhone 7の549ドルからという過去のモデルも含まれる。ということは、より新しく、画面や保存容量が大きなモデルが売れるほど、平均販売価格は高くなる。
平均販売価格から、二つの事象が推測される。
・今回の2018年第2四半期のiPhone販売は、2017年第2四半期に比べ、iPhone Xの販売によって平均販売価格が上昇しているが、2018年第1四半期ほどiPhone Xの割合は大きくなかった。
・iPhone Xは引き続き好調だが、新興市場を中心に廉価版のiPhoneが輪をかけて好調であったことから、平均販売価格は下がった。
ここで、地域別の市場動向を見ると、米国や欧州は平均して10%台の増加、日本と中華圏は20%以上の増加を記録しているが、廉価版の販売台数が反映されやすいアジア諸国での売り上げは4%増加にとどまっている。このことから考えると、1つ目の仮説が優勢なのではないだろうか。
これは、iPhone Xの比率が下がり、先進国市場を中心としたiPhone 8シリーズが伸びたという状況を示している。どうしてもこれまでにない高い価格を設定したiPhone Xに議論が集中しがちだが、その陰で忘れられていることがある。2017年9月に発売したiPhone 8、iPhone 8 Plusは、その1年前に発売されていたiPhone 7、iPhone 7 Plusと比べて、価格が上昇しているのだ。
256GBモデルについては、4.7インチのiPhone 7・iPhone 8が849ドル、5.5インチのiPhone 7 Plus・iPhone 8 Plusが949ドルと変わっていないが、最も価格が安いモデルは4.7インチモデルで50ドル、5.5インチモデルで30ドルの値上げとなっている。
保存容量が32GBから64GBに増加していることから、単純な値上げではないが、iPhone Xがなくても、2016年モデルと2017年モデルを比較すれば平均販売価格は上昇していたことになる。