マツダの昨今のクルマづくりといえば、「一括企画」「コモンアーキテクチャー」「魂動デザイン」といった言葉で語られてきたが、これからは新たに「ラージ」と「スモール」という概念が追加となるようだ。今後、マツダのクルマは変わるのか。

新世代商品群で採用した高効率なクルマづくり

2017年度に販売台数165万台を達成したマツダ。決算会見に登壇した小飼雅道社長は、マツダが今後、200万台体制を目指していくとの方針を明言した。この規模拡大を実現するため、次世代商品群(2018年度中に発売)の新車開発では2つのアーキテクチャーを柱にするという。

  • マツダの小飼雅道社長

    2017年度の決算会見に登壇したマツダの小飼雅道社長は、マツダが次世代商品群を「ラージ」と「スモール」という2つのアーキテクチャーに分離することを明らかにした

2012年の「CX-5」から始まった新世代商品群でマツダは、一括企画のもと、コモンアーキテクチャー構想による効率の高い開発と商品化を行ってきた。

一括企画とは、数年先までの商品で求めるべき価値を事前に見極め、その上で新たに投入予定の機能や装備を全ての車種に展開できるよう、あらかじめ想定しながら新車開発を進める手法である。

これにより、先に売り出した車種に対しても、後に発売した車種で採用する新装備をマイナーチェンジ(マツダでは商品改良という言い方をする)の際に織り込み、マツダ車の全てで共通した商品価値を持たせられるようにした。例えば安全装備については、車種の上下を問わず、また発売時期の前後を問わず、常にマツダ車には同様の安全対策が施されているようにする、といった具合だ。

  • マツダ「デミオ」

    2017年12月に商品改良を受けて発売となった「デミオ」(画像)は安全装備が充実した

6年で40万台の成長を実現したマツダ

コモンアーキテクチャーとは、共通プラットフォームとは異なり、部品の共用ではなく、性能を共通にしていくという考え方だ。例えば排気量の大小を問わず、エンジンの燃焼向上を同じように実現するため、燃焼室の考え方を共通化する一方、採用する部品の取捨選択は排気量に応じ、個別に行うといったような設計戦略である。同じターボエンジンでも、排気量の大小によってターボチャージャーの仕様が異なることもあり得るということだ。

こうした考え方によりマツダは、年間販売台数を2011年度の125万台から、6年間で40万台増やすことに成功した。しかし、ここからさらに35万台増の200万台体制を実現するには、若干の軌道修正が必要になったということである。それが、「ラージ」と「スモール」の表現になっている。