日産にとって中国は米国以上の収益源に?
トヨタは北京モーターショーで「カローラ」と「レビン」のPHV2車種を公開し、2019年から現地生産で発売することを明らかにしたが、これとともに、自社開発のEVを中国で生産して2020年に発売する戦略を明示した。2020年までにPHVやEVなど、新たに電動車10車種を追加し、電動車の中核部品の現地生産も進めるとの考えも打ち出している。
トヨタとしては、中国のNEV規制に対し、まずはPHVを先行投入してEVにつなげていく戦略であり、トヨタEV戦略としてもグローバルで中国から先駆けていくことになる。
日産は、新しい中期経営計画「日産M.O.V.E to 2022」でも電動駆動車の拡充を大きなテーマとし、2022年までに新たに8車種のEVを市場投入する計画を打ち出していた。その第1弾として「シルフィ ゼロ・エミッション」を中国で2018年後半にも投入する。
日産の中国合弁先の東風汽車有限公司は、EV中心の電動車攻勢で2022年の中国総販売台数を2017年実績比7割増の260万台に引き上げる計画を打ち出している。日産としてはグローバル戦略で中国を米国以上の最大収益源としてとらえ、高級車ブランド「インフィニティ」も2025年までに全てを電動車に切り替える計画など、EV転換をいち早く打ち出していくことになる。
兄弟車戦略でコストダウンを図るホンダ
かつては「北米一本足打法」といわれたホンダも、最近では中国を最重点市場へと転換する姿勢が著しい。北京モーターショーでの「理念EVコンセプト」は、ホンダと現地合弁の共同開発によるSUV「ヴェゼル」をベースとし、広汽ホンダの自主ブランド「理念」のモデルとして年内に投入する。
ホンダの八郷隆弘社長と倉石誠司副社長は、共に中国へ赴任していたこともあり、中国に精通する。同社が中国で採用する「兄弟車戦略」は、現地合弁の東風本田汽車と広汽本田汽車において、1つの車台を用いながら内外装を変えてクルマを作り、異なる顧客層に訴求する手法だ。これがコストダウンにつながる。また、中国のカーシェアリング企業「リーチスター」への出資を通じ、シェアEVとしての可能性も探るなど独自のEV戦略を展開する。
いずれにせよ、世界最大の自動車市場である中国でNEV規制が動き出すからには、自動車メーカー各社としては対応せざるを得ないのが現状だ。日本の大手3社が打ち出した微妙に色合いの異なる戦略からは、各社の思惑を感じ取ることができる。