今や世界最大の自動車市場となった中国で、近く始まる「NEV規制」。電気自動車(EV)など新エネルギー車の販売を義務付ける政策だが、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダの日本勢はどう対応するのか。前哨戦の北京モーターショーで各社は三者三様の戦略を披露した。
北京モーターショーで見えた日本勢の違い
日本ではゴールデンウィークだが、今や世界最大の自動車市場となった中国の首都・北京ではモーターショーの真っ最中だ。4月25日から5月4日までの期間中、自動車各社はEVなどの新エネルギー車(NEV:New Energy Vehicle)を巡って熱い戦いを繰り広げる。
トヨタ、日産、ホンダを中心とする日本勢も、プラグインハイブリッド車(PHV)やEVなど、電動の新型車に力を入れ、中国で先行して新商品や技術を投入する方向を前面に打ち出している。だが、北京モーターショーで公開されたトヨタ、日産、ホンダの電動車戦略は、それぞれ微妙な違いを見せた。
トヨタはPHVから、日産とホンダは?
トヨタは、中国では初となるPHVのセダン「カローラ」と小型車「レビン」の2車種を公開した。トヨタ初の海外生産PHVであり、中国の合弁先である一汽豊田汽車有限公司と広汽豊田有限公司で現地生産し、2019年から生産を始めて中国市場に投入する。
日産は日本で発売した新型「リーフ」とともに、「シルフィ ゼロ・エミッション」として新型EVを初公開した。このクルマは中国専用車両として2018年後半に市場投入する。Cセグメントセダンの「シルフィ」は中国で人気のモデルであり、2017年には約42万台を販売し、フォルクスワーゲン(VW)のセダン「ラヴィダ」に次ぐ第2位の販売となった。日産は人気車種をEV化して中国で攻勢をかける。
ホンダは「理念EVコンセプト」を初公開した。本田技研科技(中国)有限公司とホンダの合弁先である広汽本田汽車有限公司(広汽ホンダ)の共同開発で、中国市場専用車として初の量産EVとなる。ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」をベースとし、広汽ホンダの自主ブランドである「理念」のモデルとして2018年内に投入する。
実用面で有利なPHVからEVへという戦略をとるトヨタに対し、一気にEV化を進める日産とホンダ。ただし、日産はCセグメントセダン、ホンダは需要が高まるSUVと車種が異なる。このようにトヨタ、日産、ホンダは、中国での電動化戦略を三者三様で進めていく動きを見せる。各社が中国で電動化に注力するのは、同国政府が2019年から導入する「NEV(新エネルギー車)規制」への対応が求められているからだ。