Apple Watchは2015年に登場した、Appleにとって最も新しいアプリが動作するデバイスだ。Appleは、MacのmacOS(旧名称はMac OS、OS X)、iPhoneとiPadのiOSをラインアップしていたが、これに2014年、Apple TVのtvOS、2015年にApple WatchのWatchOSが加わった(ともに2014年9月の発表)。
Apple Watchはその後、順調に売り上げを伸ばし、2017年9月に発表したApple Watch Series 3では、待望のセルラー機能を内蔵し、本格的な普及へと弾みを付けている。
そんな中、筆者は、ウェアラブルデバイス、スマートウォッチ、といったカテゴリを牽引するApple Watchに、ある兆候を見出している。それは、次のAppleのデバイスを牽引する「実験場」としての存在だ。
Apple Watchは38mmもしくは42mmのディスプレイとデジタルクラウン、いわゆるリューズのインターフェイスを備えた腕時計型のデバイスだ。起きて活動している間は常に手首に着け、これまでのパソコンやスマートフォンでは取得が難しかった詳細な活動量やワークアウト、心拍数などのデータを計測し、アプリから利用可能にした。
こうしたスマートウォッチとしての位置付け以外に実は、Apple WatchがApple製品全体において、「実験室」として機能している部分がいくつもあった。
まず、初代Apple Watchでは、ケースの材質によってラインを3種類揃えた。アルミニウムのApple Watch Sport、ステンレススチールを用いたApple Watch、18金「Apple Gold」とも言われる素材を使ったApple Watch Editionがラインアップされ、電子機器としての性能は全く同じだったが、300ドル台から1万ドル台までの価格レンジを作り出した。
2017年のiPhoneと比較してみると、iPhone 8、iPhone 8 Plusはこれまで通りのアルミニウムだったが、iPhone Xにはステンレススチールが用いられた。もちろん後者にはディスプレイの違いがあるが、フレームの金属の違いによって、ラインアップと価格の差別化を図っている。
また、Apple Watch向けに採用されたApple製のフォント「San Francisco」も、1年後の2015年9月にリリースされたiOS 9でシステムフォントとして採用された。また有機ELディスプレイも、Apple Watchで初めて搭載され、MacBook Pro、iPhone Xのキーフィーチャーとして採用されている。
他社製スマートフォンでは既に実現されてきたことだが、iPhoneを持ち上げると画面が点灯するモーションセンサーを用いたウェイクの仕組みも、Apple Watchで手首を返せば画面が点灯するという仕様を引き継いだ格好になっている。Apple Watchに比べ、iPhoneの方が反応が若干遅く感じられはするけれども。