日産「リーフ」の思想を受け継ぐ「防爆設計」
これらの実証実験を通じ、フォーアールエナジーが得た知見の1つは、日産がリーフに用いるリチウムイオンバッテリーと制御システムの安全・信頼性が高いと再認識したことだった。
「EV用に開発されたリーフのリチウムイオンバッテリーと、それを搭載するバッテリーパックはショート(短絡)が起きないよう設計されていますが、万に一つのショートが起きたとしても、発火しないような設計が追加されています。バッテリーパック内が万一の際に酸欠となる設計がされていることにより発火しない、いわゆる『防爆設計』というものです」
「リーフは世界累計で30万台ほど販売されていますが、リチウムイオンバッテリーに関する事故ゼロが続いています。弊社では、その日産の安全思想を受け継ぎ、家庭用バッテリーにおいても防爆設計としているので安全です。ただし、定置型バッテリーとしての容量、出力、価格の面で、競合他社に比べやや損をしている面があるかもしれませんが…」
クルマとは違う使い方に苦労も
安全性の面で特徴的なのは、クルマの場合、駐車すれば必ず1日に1回はメインスイッチがオフになるので、そこでおかしなメモリーなど、デジタル制御機器における不安要素を取り除く設計がなされている。一方、ことに産業用や家庭用などでは、何日も何カ月も連続して使い続ける場合が多いため、1日1回のオン・オフを行うことが面倒であったり、それを厭う顧客があったりするのも事実だ。もちろん、オン・オフは自動で行われるが、「その間も充放電をしたいとか、その分を価格の安さに振ってほしい」との声もあるようだ。
しかしながら、産業用であれ家庭用であれ、万が一にも火災が生じれば事態は深刻になる。人命に関わるかもしれない。それは、各地で起こる災害も同じだ。災害時の電力確保としてもバッテリーの需要は高まっており、安全性・信頼性はこれからのエネルギー保障において重要項目と言える。目先の安さだけで済まされない問題だ。