▼活動していく中で変わってきた、お互いの印象
――そんな奥山さんと、出会った頃の印象は?
筆村 怖い人……(笑)。最初のころは、ケイティって喋らないし、笑わない、目も合わなかったんです。事務所から駅に帰る道も、なんとなく集団で帰るところを、彼は一人で携帯いじっていて、コミュニケーションをする気がない人だと思っていました。僕だけじゃなくみんなに対してそういう感じで。ただただ怖かったし、仲良くはなれないだろうなと思っていましたね。
奥山 正直、その時は周りの人と仲良くしようとは思っていなかったんですよね。声優にかける思いも少し違ったから、仲良くなれるかどうかも不安で。今にして思えばそんな心配は全然いらなかったんですけどね。当時は、「絶対に仲良くならねえ」って壁を作っていました。
――壁が崩れたきっかけは?
筆村 初めてステージに立たせていただくって決まった時ですね。たぶん2013年頃かな。「これどうやっていこうか、どうやって歌っていく? 」って相談し始めたのがきっかけでした。
――ライバルが、協力すべき仲間だったということですね。一方奥山さんは、初めて出会った時に筆村さんにどのような印象をお持ちでしたか?
奥山 子どもだなって(笑)。単純に、その時僕は22歳で、栄心は18歳。すごく自分との年齢差を感じていたんですよ。でも、仕事をしていて、声優になるために上京してきたってことを聞いて、自分との違いを感じましたね。そういう、自分の行きたい道をしっかり歩んでいるところが、尊敬しているところでもあります。
――今は筆村さんに対して、どんな印象をお持ちですか?
奥山 印象というか、負けたくない奴だなと思います。事務所を離れる前と、帰ってきたからは違う印象ですね。前はすごく自信がなさそうだったんですけど、帰ってきた時には「あ、抜かされるな、やばいな」って思うくらいに変わっていたんです。その時から、今でも負けたくないなって思います。
筆村 でも、たぶん僕のほうが負けたくないって思ってるよ!(笑)。ケイティは年上だしダンスもできるしかっこいいし、僕には勝てるものが何もないんじゃないかって思っていたんです。でも、僕は僕なりに何かを手に入れて、この人と並べるようにならなきゃいけないっていう気持ちを今もずっと持っています。
――互いにライバル心を燃やしているおふたりですね。筆村さんは、奥山さんの現在の印象はいかがですか?
筆村 さっきケイティが、はじめに僕のことを「子ども」だと思ったって言ってたけど、今は逆に、この人僕より年下なんじゃないかなって思う時があります(笑)。四つ上なので、お兄ちゃんのように引っ張ってくれるタイプかと思いきや、一人で決められなくて、何でも「これどうする?」って色々と相談してくれるんですよ。嬉しいんですけどね。引っ張っていくというより、寄り添ってくれるタイプなのかなと思います。
奥山 僕、末っ子なんで(笑)。
筆村 逆に僕はひとりでバンバン決めてっちゃうタイプなので、正反対です。あと、実はたぶん甘えたがりなところもあるのかもしれない。ケイティのファンは、彼が踊っているときのかっこよさと、Twitterとか日常で見せる姿とのギャップがすごくて、風邪を引くんじゃないかと思います(笑)。
――奥山さんは寂しがり屋、という説も他の声優さんが口にしていましたね。
筆村 本当に、うさぎかなー? とは思いますね(笑)。ひとりにはなれないのかなって。
――ぱっと見、筆村さんのほうがうさぎっぽいと言われそうですが。
奥山 栄心は意外と男らしいですからね。
筆村 うさぎって言われますね。実は狼なのかもしれません。
――例えば筆村さんのどんなところが男らしいですか?
奥山 よく食べるところとか! あと、自分でやりたいことをどんどん主張していくところもそうですね。僕はそれを見ているだけで、便乗したい時に「それ、俺もやりたい!」って言う。Twitterもそうだったよね。
筆村 そうだね。自分を発信する場所として、Twitterをやりたいなって相談したら、ケイティもやることになって。
――Twitterを始められたのはどういった思いからだったのでしょうか?
筆村 どうやって僕を見つけてファンになってくれるんだろうとか、どうやって業界の方に自分の存在を知ってもらえるのかを考えていて、その方法のひとつがTwitterだったんですね。声優をやっていらっしゃる方はみんなそうだと思うんです。知っていただかないと、そもそもオーディションの話が来ないので。
奥山 受かる、受からない以前にね。
▼これまでにない声優ユニットを目指して
――お話を聞いていると、本当に自分たちで道を切り拓いてこられたおふたりなんだと実感します。さて、ここからはデビュー曲「Duality」についてお伺いしていきます。こちらはどんな楽曲ですか?
奥山 僕らが活動してきたなかで初めて歌う曲調だったんです。今まではみんなで盛り上がろう! って曲をカバーしてきたんですけど、この曲は僕たちふたりのことを歌とかダンスを含めて見て欲しい、これが僕たちの思いですよという曲です。
筆村 MVには、「終わりの終わり」というコンセプトがあります。今まで僕たちはBB-voiceという名前を、言ってしまえば勝手に名乗ってふわっと活動してきましたけど、そこからアーティストとしてデビューする一歩を踏み出す、強い意志を表した楽曲ですね。
奥山 歌詞も「一緒に歩んでいこう」というテーマで、僕と栄心ともとれるし、僕らと応援しているみんなという意味にもとれる。ここから一緒に歩んで行こうという曲です。MVは、文明が廃れた近未来で離れていた僕と栄心が出会うストーリーなんですが、それが僕らBB-voiceの今までとすごくリンクしている気がします。
――カップリング曲の「ON MY WAY」はどういった曲でしょうか?
奥山 こっちもライブ用にがっつり振り付けをしているんですが、「Duality」は自分史上一番難しい振りにしよう! と思って作り始めてみたのに、実はこっちのほうが難しい振り付けになっているかもしれない。見どころが多い曲になっています。
筆村 自分の夢のために、同じ空の下それぞれ別の道を歩むって歌詞もあって夢を叶える過程の曲ですね。僕たちもこれからどんどんCDを出して、もっと大きなところでライブをやっていきたいので、そういう夢を支える曲になっていると思います。
――最後に、今BB-voiceが気になっているみなさんへ、自分たちのどんなところに注目してもらいたいか、メッセージをお願いします。
奥山 BB-voiceは今までにないユニットを目指していきたいと思っています。ここまで踊っているユニットもなかなか珍しいと思いますし、僕たちの個性や見せたい表現をもっと出していきたいと思っているので、ぜひこれからも注目して欲しいです。
筆村 僕たちは見た目も、これまで歩んできた道も正反対だけど、だからこそ深みがあるユニットなんじゃないかなと思っています。世の中たくさんのユニットや、2次元、2.5次元といろんなアーティストさんがいらっしゃる中で、僕たちふたりにしかできない表現がきっとあるはず。ぜひ、今のうちに注目しておいてください。